研究課題
中枢神経系は外界から絶えず様々な刺激入力を受けながら、認知・思考・記憶・感情といった高次機能を実現している。高次機能を実現する素子・構成単位として、神経細胞を想定することは妥当であろう。しかし神経細胞一つ当たりの情報処理速度は高々1KHz程度であることから、神経細胞から構成されるネットワークにこそ、高次機能を生み出す原理があると考えられる。神経回路網の定量的解析については多くの研究者がその重要性を認めるところであるが、特に大脳新皮質においてはその解析があまり進展していないのが現状である。本研究課題では、parvalbumin (PV)、somatostatin (SS)、vasoactive intestinal peptide (VIP) 発現抑制性神経細胞を対象とし、皮質抑制性神経細胞が構成するネットワークを定量的解析に取り組んできた。(I) 皮質抑制性神経細胞への入力特性第一次体性感覚野(S1)においては、PV発現細胞への各種シナプス入力には部位指向性・特異性があることを先行研究で明らかにしてる。第一次運動野(M1)においても同様の解析を進めたところ、S1とM1ではその結合様式に共通ルールがある一方で、領野特異的なルールもあることを明らかにした。また、VIP発現細胞への各種シナプス入力にも部位特異性があることを見出し、論文発表に向けて準備を進めている。(II) 皮質抑制性神経細胞の出力特性出力特性解析を行う際、薄切切片で結合関係を丹念に調べるという従来の方法は非効率的である。作業の効率化、および精緻な三次元データの取得を目指し、共同研究を通じて新しい透明化技術の開発に取り組んできた。現在までに様々な透明化技術が開発・発表されてきたが、簡便性・再現性・効率性などの様々な観点から、本方法は回路構造解析において最も優れたものだと思われる。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
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