研究課題/領域番号 |
24500409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古田 貴寛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60314184)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒゲ感覚系 / 末梢受容器 / 形態学的特徴 / 反応特性 |
研究概要 |
能動的触知覚(アクティブタッチ)の機構を解明する道程の一段階として、我々は本申請課題において、触覚情報を神経活動に変換する末梢受容器の仕組みについて研究する。感覚情報の入口とも言える末梢受容器では、その情報を神経活動に変換する理にかなった構造が存在するはずである。この末梢受容器の仕組みを知ることは取り込まれた感覚情報が中枢でどのようにして処理されるかを理解するのに大変役立つと思われる。 本申請課題のテーマは、ヒゲが対象物に触れた時、ヒゲ感覚器を構成する様々な末梢触覚受容器が機械的触覚刺激を神経活動に変換する仕組みを明らかにすることである。 ラットのヒゲの根元にはカプセル状の構造の中に種類も本数も多くの触覚受容器がシステマティックに配置されていることが知られている。単一の触覚受容器の活動を記録する方法とその受容器を可視化する手法を組み合わせることにより、触覚受容器の反応特性とその受容器の種類や配置との関係を明らかにしている。 これにより末梢受容器の形態学的特徴とヒゲ刺激に対する反応特性との間に一定の関係があることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度はヒゲ感覚器が静止した状態において、受動的な刺激入力を行った場合の反応特性を調べる予定であった。その実験系において、概ね目的としていたデータ量が獲得できた。現在解析中であるが、論文発表に価する質と量のデータであると確信している。よって計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
能動的ヒゲ運動を人工的に生じさせた時の末梢受容器の反応を調べる。 ラットのヒゲ運動は顔面神経によって支配されている。先行研究では麻酔下のラットにおいて顔面神経を刺激することによって人工的にヒゲ運動を引き起こし、その時の一次求心性線維の活動特性を調べたものがある(Szwed et al., 2003)。その手法に倣い、我々の実験系でも人工的なヒゲ運動を起こし、(1)何にも触らず空中でヒゲ運動するのみ、(2)ヒゲ運動の途中で静止した対象物に接触する、(3)ヒゲ運動の途中で動いている対象物に接触する、等のテスト条件を設定し、その時の末梢受容器の活動を上記と同じ方法で調べ、ヒゲ運動が無い場合と比較してどのように異なるのか解析する。このときヒゲの運動は高速ビデオカメラで撮影して解析する。我々の高速ビデオカメラシステムは自動的にヒゲを検出することができ、リアルタイムでヒゲの位置情報を算出する。これにより、ヒゲの運動解析はもちろん、ヒゲと対象物が接触するタイミングも抽出することができ、これらの要素と末梢受容器の活動との関係を調べる。このようにしてヒゲ運動を伴うヒゲ感覚受容における末梢受容器の活動特性を詳細に調べた後、活動記録された末梢受容器の形態を上記方法により可視化し、その受容器の構造的特性と活動特性の関係を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に実施する実験のための予備実験(ヒゲ運動の計測系の確立)を24年度に行ったが、予定より早期に目的のシステムが確立した。それに伴い24年度中に使用予定であった消耗品等を25年度に使用する事になったため若干の「次年度使用額」が生じる事になった。25年度は主として、ABCキットやBDA等の試薬類およびプラスチック製品や実験動物等の消耗品に使用する予定である。これは応募書類作成時当初の計画の通りである。
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