研究課題/領域番号 |
24500409
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古田 貴寛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60314184)
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キーワード | ラット / 機械受容器 / 触覚 / 反応特性 / 形態学 / whisker |
研究概要 |
ラットヒゲ毛包における機械受容器の反応特性を、軸索内記録により解析し、また記録後にその受容器の形態を可視化することにより、それらの要素の関係性を明らかにすることを目的として、研究を行った。ラットヒゲ毛包には、非常に多くの種類の機械受容器が存在しており、また、それらが構成する複合体は大変複雑な構造を持つ。本研究では、形態学的に分類される機械受容器の種類によって、それぞれ機械刺激に対する反応特性が異なることが明らかになった。また、毛包内での構造が、ある種の反応特性のオーガナイゼーションに強く関わることが示唆された。これらの結果は、ラットヒゲ毛包内の複雑な構造が、ヒゲ先端に加わる機械的刺激を神経活動に変換する際のメカニズムに大きく関わっていることを示唆する。ラットヒゲ毛包の構造解析モデルを作製し、シミュレーションすることにより、感覚符号化のメカニズムを検証したり、理解したり出来ると考えた。それに必要なパーツとして、各機械受容器の三次元的微細構造を調べる研究を行った。超微細構造の三次元的データを取得できる電子顕微鏡にて、メルケル終末と槍型終末の詳細な構造的特徴を明らかにした。こうしたデータを積み重ねることにより、触覚刺激を神経活動に変換する、末梢のメカニズムを理解し、ひいてはそのシステムにおいて神経活動がデコードされ、外界の情報が脳内で再構築されていく仕組についても重要な示唆が得られると予測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
生理学的特徴と形態学的特徴の関係性を明らかにすることを目的としていたが、それはほぼ達成することが出来た。さらに、それに加え、三次元的超微細構造の解析を行うことが出来たのは、想定以上の成果であった。この解析により、機械受容器の受ける機械的入力について、理論的に考察することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた、生理学的データと形態学データの関係性、および、超微細構造の三次元的解析から得られたデータをもとに、毛軸を含むラットヒゲ毛包の理論的モデルを構築する。このモデルを使ってシミュレーションを行うことにより、機械的刺激の神経活動符号化に関するメカニズムを考察したり、検証することが可能になる。
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次年度の研究費の使用計画 |
予想外にデータを取得する効率が良かったため、実験の回数が予定よりも少なく、消耗品等の出費がやや少なかった。 次年度の実験計画において、実験回数を若干増加させ、それに伴う消耗品費の増加分に充てる。
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