研究課題/領域番号 |
24500410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
碓井 理夫 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (10324708)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | てんかん / 神経生理 / 神経発生 / 樹状突起 / カルシウムシグナル / FRET型プローブ |
研究概要 |
<espinas変異体の中枢神経ニューロンの形態観察> esnを発現している中枢神経ニューロンについて、樹状突起や軸索の伸長パターンを観察したが異常は検出されなかった。 <esn変異体の行動アッセイ> 後期終齢幼虫の「歩行運動」を定量的に観測した。esn変異体ではこのシフトが不完全で、後期終齢幼虫でも幼弱型の“直進性運動”モードを示した。 <esn変異体の神経回路の活動解析> 我々が同定したシナプス標的ニューロンの候補群について、esn変異体において標的ニューロンの活動をカルシウムプローブGCaMP5で観測できる系統を作製した。 <Cbp53Eヌル変異体の作製と検証> 平成24年度は、まず、位置選択的な染色体組み換えにより、Cbp53E遺伝子座を完全に破壊したヌル変異を2系統作製した。これら系統のそれぞれのホモ接合体およびトランスヘテロ接合体は、成虫まで生存可能であり、また生殖可能であった。トランスへテロ接合体の3齢幼虫から中枢神経系を摘出し、タンパク抽出液を調製して、我々が作製した抗Cbp53E特異的な抗体を利用したウエスタンブロッティング法によって内在性のCbp53Eタンパク質を検出したところ、予想通りタンパク質ヌル変異であることが確認できた。これらの系統を利用することによって、母性効果による遺伝子産物の持ち込みを完全に無効化した条件で、Cbp53Eの生体内での機能評価を行える環境が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
esnを発現している中枢神経ニューロンについて、樹状突起や軸索の伸長パターンを観察したが異常は検出されなかった。後期終齢幼虫の「歩行運動」を定量的に観測した。esn変異体ではこのシフトが不完全で、後期終齢幼虫でも幼弱型の“直進性運動”モードを示した。我々が同定したシナプス標的ニューロンの候補群について、esn変異体において標的ニューロンの活動をカルシウムプローブGCaMP5で観測できる系統を作製した。平成24年度は、まず、位置選択的な染色体組み換えにより、Cbp53E遺伝子座を完全に破壊したヌル変異を2系統作製した。これら系統のそれぞれのホモ接合体およびトランスヘテロ接合体は、成虫まで生存可能であり、また生殖可能であった。トランスへテロ接合体の3齢幼虫から中枢神経系を摘出し、タンパク抽出液を調製して、我々が作製した抗Cbp53E特異的な抗体を利用したウエスタンブロッティング法によって内在性のCbp53Eタンパク質を検出したところ、予想通りタンパク質ヌル変異であることが確認できた。これらの系統を利用することによって、母性効果による遺伝子産物の持ち込みを完全に無効化した条件で、Cbp53Eの生体内での機能評価を行える環境が整った。こんおことから、実験計画はおおむね順調に伸展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成24年度に引き続き、(1)ニューロンの細胞内カルシウムの恒常性維持過程にどのような異常が見られるかを追究すると共に、(2)クラスIVdaニューロンの中枢における投射先および神経回路の同定・統制解析を進めていく。(1)については、daニューロンの発火パターンなどの神経活動と細胞内カルシウム恒常性との関係に注目して解析する。具体的には、解剖個体を用いて単一細胞の細胞内カルシウム動態と発火パターンを同時計測できる実験系を利用して、cbp53E変異体での神経活動を詳しく観察する予定である。(2)については、既に同定している標的ニューロンの候補細胞群についてチャネルロドプシンを用いた強制発火によって、高温受容に特有の回転逃避行動が惹起されるかどうかを検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ショウジョウバエ飼育に必要なプラスティック機器などの消耗品を中心に使用すると共に、電気生理学に用いるガラス器具などにも充てる予定である。また、複数の学会での発表を計画しており、その旅費にも一定額を使用する予定である。
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