研究課題/領域番号 |
24500410
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
碓井 理夫 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (10324708)
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キーワード | てんかん / 樹状突起 / 突起間忌避 / 生得行動 |
研究概要 |
てんかん症状は、大脳皮質ニューロンが過剰に発火することで生じる反復性の発作現象である。先行研究から、(1)脳の発達過程における軸索や樹状突起の異常伸長が原因で異所的な神経回路が形成されること、あるいは(2)ニューロンの細胞内カルシウム濃度が変調し、その信号伝達経路が入力刺激に過敏応答して高頻度発火が誘導されることが原因であると推定されている。しかし、未だにその成因は十分には解明されているとは言えない。 我々の研究グループは、ショウジョウバエをモデル系にして、樹状突起の正常な伸長に必須なシグナル伝達系を明らかにしてきた。7回膜貫通カドヘリンFlamingoと、その細胞内結合タンパク質Espinas (Esn) が協働的に機能して樹状突起同士の交差を防いでおり、その結果、樹状突起は空間に均一な密度で広がっていくことが可能になる。ごく最近になって、ヒトおよびマウスのEsnホモログが、家族性てんかんの責任遺伝子の一つであることが報告された。一方で、我々は、Esn変異体で、生得的な行動パターンが異常になることを発見していた。 Esn結合因子として同定した分子群の一つ、細胞内足場タンパク質Neurochondrin (Ncd) について、RNA干渉法による機能阻害下での表現型解析を行ったところ、Esn変異体と同様の樹状突起交差異常が確認された。現在、Cas9/CRISPR法により分離した点突然変異系統について表現型の確認作業を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Esn結合因子として同定した分子群の一つ、細胞内足場タンパク質Neurochondrin (Ncd) について、RNA干渉法による機能阻害下での表現型解析を行ったところ、Esn変異体と同様の樹状突起交差異常が確認された。現在、Cas9/CRISPR法により分離した点突然変異系統について表現型の確認作業を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
Ncdの哺乳類ホモログは、代謝型グルタミン酸受容体などの細胞内分布を制御することを介して、細胞内のカルシウム濃度環境を正常に維持するホメオスタシスに預かっていることが先行研究から明らかになっている。そこで、それら候補因子との機能的な連関を探索するために、遺伝学的な相互作用を指標にしたアッセイを計画している。具体的には、Ncd変異体と候補因子変異体の二重ヘテロ変異体を作製し、その樹状突起形態を系統的に調査する。
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