研究課題/領域番号 |
24500412
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
安井 幸彦 島根大学, 医学部, 教授 (30174501)
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研究分担者 |
津森 登志子 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (30217377)
横田 茂文 島根大学, 医学部, 助教 (50294369)
岡 達郎 島根大学, 医学部, 助教 (20508923)
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キーワード | オレキシンニューロン / 視床下部 / 結合腕傍核 / 脊髄後角 / 三叉神経脊髄路核 / コレラ毒Bサブユニット / フルオロゴールド / ビオチン化デキストランアミン |
研究概要 |
本研究は、痛み刺激による覚醒反応の神経機構を形態学的立場から明らかにすることを目的とし、本年度は、覚醒反応に関わっている視床下部オレキシンニューロンの分布域に投射する外側結合腕傍核ニューロンと、痛覚の伝達に関与する脊髄後角線維あるいは三叉神経尾側亜核線維との接合様式について、光学顕微鏡レベルならびに電子顕微鏡レベルで解析した。 同一ラットで、視床下部オレキシンニューロン分布域にコレラトキシンBサブユニット(CTb)あるいはフルオロゴールド(FG)を注入後、脊髄後角あるいは三叉神経尾側亜核にビオチン化デキストランアミン(BDA)を注入して、約1週間後に灌流固定し、免疫組織学的にCTb陽性ニューロンあるいはFG陽性ニューロンを、組織学的にBDA標識線維および終末を検出した。その結果、BDA標識線維とCTb陽性ニューロンあるいはFG陽性ニューロンとの分布の一致を、橋の上小脳脚周辺領域、とくに外側結合腕傍核に光学顕微鏡下で見出した。さらに電子顕微鏡下で、これらの標識線維終末と標識ニューロンとの間に非対称性シナプスが形成されていることを確認した。 外側結合腕傍核のグルタミン酸作動性ニューロンが視床下部オレキシンニューロンを直接支配していることはすでに明らかにしており、本年度の結果と考え合わせると、痛覚刺激による覚醒反応の神経機構の一つとして、脊髄後角および三叉神経尾側亜核から外側結合腕傍核を介する視床下部オレキシンニューロンへの侵害性情報伝達路の存在が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画では、外側結合腕傍核に投射する脊髄後角あるいは三叉神経尾側亜核ニューロンがグルタミン酸作動性であることを、逆行性標識法とin situ hybridizationとの併用、あるいは順行性標識法と免疫組織化学の併用によって証明する予定であったが、現時点では十分なデータが得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
1)外側結合腕傍核に投射する脊髄後角あるいは三叉神経尾側亜核ニューロンがグルタミン酸作動性であることを、逆行性標識法と小胞性グルタミン酸トランスポーターmRNAに対するin situ hybridizationとの併用、あるいは順行性標識法と小胞性グルタミン酸トランスポーターに対する免疫組織化学の併用によって証明したい。 2)これまでのデータを総合的に解析し、痛覚刺激による覚醒反応の神経機構の一つとして、脊髄後角および三叉神経尾側亜核から外側結合腕傍核を介する視床下部オレキシンニューロンへの侵害性情報伝達路が存在することを明らかにし、神経科学分野の国際誌に発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は実験動物の使用数が予定していた数よりも少なく、その結果、抗体などの薬品やスライドグラスなどの使用量も少なくなったために未使用額が生じた。 平成26年度の研究費は交付額と上記未使用額を合わせたものであり、これらの一部(10万円)は学会発表のための旅費に、残りはすべて消耗品〔(抗体などの試薬)、実験動物、論文別刷〕に使用する予定である。
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