• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

発生早期に特定の運動神経に起こる細胞死を決定する転写因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24500414
研究種目

基盤研究(C)

研究機関福島県立医科大学

研究代表者

八木沼 洋行  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90230193)

研究分担者 西山 慶治  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10106354)
本間 俊作  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20261795)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード発生・分化 / 神経細胞死 / 転写因子 / 頚髄 / 運動神経
研究概要

平成24年度は、発生早期に細胞死を起こす運動神経グループを特徴付けるHox転写因子群を明らかにするため、発生過程で頚部に発現することが知られているHoxA3,A5,C5,C6の遺伝子に対する特異的抗体を作成し、免疫組織学的手法を用いて、これらの転写因子群の発現パタンの詳細を調べた。さらに、運動神経サブグループ特異的なマーカー分子との共存も調べ、運動神経サブグループ間における発現パタンの違いの解明を試みた。おもな結果は以下の通り。
(1) 頚髄の運動ニューロンにおけるHox分子の発現は、運動ニューロンとしての分化直後の発生早期から認められた。
(2) HoxA5とHoxC5の運動ニューロンにおける発現の頭側端は、頚髄としての特徴の始まる部位に一致しており、この2つのHox分子が、頚髄に特徴的な運動神経細胞の分化の吻側端を決定するHox分子の候補であることが示唆された。
(3) Hox分子により、頚髄の運動ニューロン全体で発現される分子と、運動ニューロンの一部で発現される分子があることが明らかとなった。すなわち、HoxA5はIslet1陽性の全運動ニューロンで発現されているのに対し、HoxC5は、Phox2bを発現し僧帽筋を支配することが知られている背側運動神経核では発現されない。
以上の結果から、頚髄に特徴的な発生早期の細胞死は、頚髄上部のC2付近から生じていることが知られているが、今回明らかとなったHoxA5とHoxC5の発現も頚髄のC2付近から見られたことから、この細胞死にこれらのHox分子の発現が関与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成24年度は、目的とするHox転写因子群に対する抗体作成はほぼ完了し、その詳細な局在の観察に着手することが出来、その結果上述のような所見を得ることができた。しかしながら、神経細胞死が起こる下端部に一致するようなHox転写因子の候補を同定するには到っておらず、予定よりやや遅れ気味といわざるを得ない。また、マウスに於ける解析がまだ始まっておらず、遅れている。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、平成24年度の結果から、Hox5Aと5Cに着目し、これらの分子の機能について、強制発現および機能阻害実験を行い、その結果が細胞死にどのように影響するか確かめる。強制発現は電気穿孔法、レトロウイルスベクタ法を用いる。発現抑制あるいは機能阻害のためには、siRNAの生体内への適応(電気穿孔法やリポフェクタミンを用いた方法)を試みる。また、engrailed遺伝子のレプレッサー領域にHoxのホメオドメインを繋げたコンストラクトを強制発現させてHox遺伝子による転写誘導をブロックする方法も試す予定である。また、頚髄か端部部を規定するHox遺伝子についても引き続き検索していく。さらに、マウスにおける解析にも着手し加速していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Neurogenin2 expression together with NeuroM regulates GDNF family neurotrophic factor receptor α1 (GFRα1) expression in the embryonic spinal cord2012

    • 著者名/発表者名
      Shimada T, Yaginuma H, Sato N, Homma S
    • 雑誌名

      Dev Biol.

      巻: 370 ページ: 250-263

    • DOI

      10.1016/j.ydbio.2012.08.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of the dorsal ramus of the spinal nerve in the chick embryo: a close relationship between development and expression of guidance cues.2012

    • 著者名/発表者名
      Masuda T, Sakuma C, Taniguchi M, Kanemoto A, Yoshizawa M, Satomi K, Tanaka H, Takeuchi K, Ueda S, Yaginuma H, Shiga T
    • 雑誌名

      Brain Res.

      巻: 1480 ページ: 30-40

    • DOI

      10.1016/j.brainres.2012.08.055

    • 査読あり
  • [学会発表] 頚髄の運動神経を特徴つけるHox分子の局在解析

    • 著者名/発表者名
      岡田知明、佐久間千恵、本間俊作、島田孝子、八木沼洋行
    • 学会等名
      日本解剖学会第118回全国学術集会
    • 発表場所
      高松市
  • [図書] Clinical Neuroscience2012

    • 著者名/発表者名
      頚部・頚髄発生の特性
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      中外医学社

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi