研究実績の概要 |
昨年度の結果を受け、naiveラットにP2Y12/13 agonistである2MesADPとRho kinase inhibitorを浸透圧ポンプを使用し髄腔内に持続投与した群と神経障害性疼痛モデルの一つであるspared nerve injury(SNI)モデルを作製し、Rho kinase inhibitor、P2Y12, P2Y13 antagonistを浸透圧ポンプを使用し髄腔内に持続投与した群で脊髄後角マイクログリアの組織学的な解析を詳細に行った。マイクログリアのマーカーであるIba1抗体を用いて免疫組織化学法を施し突起の長さや本数の解析を行ったところ、naive ratへの2MesADP投与群では有意な突起の短縮、本数の増加がみられたが、共にRho kinase inhibitorを投与した群ではそれらが抑制された。また、モデルラットへのRho kinase inhibitorの投与により、末梢神経損傷により引き起こされるマイクログリアの突起の短縮を抑制し、またP2Y12, P2Y13 antagonist投与群でも同様の結果を得ることができた。次に、Rho kinase の下流シグナルを検討するために、モデルラットにRho kinase inhibitorを投与するとマイクログリアにおけるp38 MAP kinaseのリン酸化を抑制し、疼痛行動も抑制された。これらのことから、マイクログリアの形態変化にはATP受容体-Rho kinase を介したシグナルが関与する事が明らかになった。
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