研究課題/領域番号 |
24500422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
冨田 裕 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60276251)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Neurovascular coupling |
研究概要 |
C57BL6/J マウスの頭頂側頭葉に頭窓を作成し、FITC 蛍光色素によりラベルした赤血球を全身投与後、皮質微小循環をリアルタイムで、laser scanning confocal 蛍光顕微鏡を用いて観察した。頭窓を通して顕微鏡下に設置したマウスの脳皮質100 μm の深さにおける毛細血管の動的モニター変化をin vivo ビデオモニターし、一ヶ月以上にわたり反復して安定的に画像解析する方法を確立・発展させた。さらに、頭窓を通して直接中大脳動脈の末梢を熱凝固し脳虚血モデルを作成した。また、イソフルラン麻酔下でDC 電位およびレーザードップラー血流計にて局所脳血流を測定しながら側頭部を開頭し、中大脳動脈起始部を直接結紮することによって中大脳動脈閉塞を施行した。その一方で、これまでに確立した方法(KEIO-IS1 およびIS2)で適宜、脳微小循環速度を測定した。Rhodamine dextran、またアストログリア細胞の生体蛍光マーカであるSulforhodamine 101を腹腔投与し、微小血管、アストロサイトなどを生体染色し、2 つの脳虚血モデルにおける虚血後の微小血管、神経細胞、アストロサイトの形態変化を反復in vivo 観察し、脳虚血時のNeurovascular coupling の病態生理を詳細に検討した。 また、長期間の血管構造のリモデリングの過程をin vivo において放射線医学総合研究所の7T-MRI を用いて詳細に検討した。さらに、摘出した脳切片に対し、2,3,5-triphenyltetrazolium chloreide (TTC) 染色を行い、梗塞体積を求めた。また組織、免疫組織化学的にも検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
laser scanning confocal 蛍光顕微鏡を用いて、頭窓を通して顕微鏡下に設置したマウスの脳皮質毛細血管の動的モニター変化をin vivo ビデオモニターし、一ヶ月以上にわたり反復して安定的に画像解析する方法を確立・発展させた。また、長期間の血管構造のリモデリングの過程を7T-MRI を用いて解析し、また、組織、免疫組織化学的にも検討した。その結果、in vivo 反復した経時的なデータと、ex vivo のデータとの比較により、Neurovascular coupling の病態生理を詳細に比較、検討できることを証明した。既に国内外の学会で発表し、また国内外の雑誌に投稿し、採択された。
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今後の研究の推進方策 |
頭窓を施したC57BL/6J マウスに脳虚血モデルを作成し、イソフルラン麻酔下でSulforhodamine 101を腹腔投与し、頭窓を通して一次体性感覚野の微小血管内およびアストログリアにおける蛍光強度を放射線医学総合研究所の二光子顕微鏡法によって5 分から30 分毎に測定する。血管の構造画像を解像度0.4 μm/pixel の条件で深さ方向に800 μm まで、またアストログリアを0.2μm/pixel の解像度で400 μm まで、それぞれ5 μm のステップ間隔で取得し、繰り返し継続観察を行う実験系を確立する。この方法で脳神経細胞、血管、グリア細胞を同時にin vivo で描出し、その細胞間の関連、経時的な形態変化などをさらに多角的に検討していく。 これら結果をlaser scanning confocal 蛍光顕微鏡を用いて、長期間観察したin vivo 実験の結果と比較、検討する。また、ex vivoデータと併せ、さらに検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究における微小循環解析実験には多くの動画撮影とコンピュータによる解析が不可欠である。高速度カメラを用いると必然的に動画ファイルのサイズが大きくなるため、保存用ハードディスクと記録メディアについて計上した。 実験用動物に関しては、実験に必要な数を概算した。 データ保存用ハードディスクおよび記録メディア: 100千円 試薬(麻酔薬、神経遮断薬、蛍光色素など): 500千円 実験用動物(マウス): 530千円
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