本研究では,虚血性大脳白質障害の増悪の病態に抗酸化ペプチドであるアドレノメデュリン(AM)の欠損が関与することを明らかにした. AMが欠損すると酸化ストレスや炎症反応が増強し大脳白質障害が悪化する.それと共に,オリゴデンドロサイト前駆細胞の減少を認め,オリゴデンドロサイトの増殖・分化機能の破綻が,大脳白質障害の増悪の要因となることが確認された.この病態は加齢による慢性的な高血糖状態の下でさらに増強し,特に血管内皮細胞の障害が関与することが明らかとなった. AMが虚血性大脳白質障害に対して保護的作用を有し,障害の増悪因子である加齢による高血糖に対しても防御的作用を示すことが示唆された.
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