研究課題/領域番号 |
24500425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
三室 マヤ 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 助教 (20387814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / 神経病理 / シヌクレイン / レビー小体 |
研究概要 |
1.多系統萎縮症(MSA)の臨床的検討;本研究所で経験した剖検脳のうち,組織学的にMSAと診断された剖検脳162例について病歴を検討したところ,死亡時年齢67.3歳,男女比90:72,罹病期間7.4年であった.また,臨床的に小脳症状を主体とするMSA-Cは86例,パーキンソニズムを主体とするMSA-Pは71例で,MSA-Cのほうが,死亡時年齢が有意に若く,罹病期間が有意に長いことがわかった. 2.MSAの病理学的検討;本研究所で経験した剖検脳のうち,組織学的にMSAと診断された剖検脳160例について,脳幹におけるLewy小体の出現率を検討したところ,10例6.3%であった.出現分布は,迷走神経背側核3.2%,青斑核4.4%,黒質3.2%,Edinger-westphal核2.0%で,Lewy小体病理のgradingは,脳幹型(Braak stage 3)が7例,辺縁系型(Braak stage 4) が3例であった.Lewy小体陽性群と陰性群の臨床所見を比較すると,初発年齢・死亡時年齢とも優位に高かった(初発年齢;陽性群66.7歳/陰性群59.5歳,死亡時年齢;陽性群73.5歳/陰性群66.9歳).病理所見では,Lewy小体陽性群は陰性群に比し,線条体黒質病変がオリーブ橋小脳病変より高度である症例が多いという特徴を有していた. 3.まとめ;諸外国の報告では,MSAは同じsynucleinopathyであるLewy小体病の合併率が高いという報告があるが,今回の検討により,本邦のMSAの中枢におけるLewy小体陽性率は,一般成人と同頻度(60歳代6.4%)であると推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標として,臨床面に関しては,MSAの臨床病型別に分類すること,病理面に関しては,MSAの病理学的stagingを行うこと,Lewy小体病との関連に関しては,Lewy小体の出現率の検討することを挙げた. MSAの臨床病型診断,病理学的staging,脳幹におけるLewy小体出現率,Lewy小体出現例の臨床病理学的特徴を検討することが出来た. 症例数が160例以上と多いため,一つ一つについて時間を要したが,これまでのところ,おおむね順調に進展していると考えられた.
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今後の研究の推進方策 |
1.MSAの臨床的検討;Lewy小体病との比較を念頭に,自律神経症状の有無や程度,MRI画像やMIBGについて検討する. 2.MSAの病理学的検討;MSAの辺縁系におけるLewy小体の出現率を検討し,昨年度の脳幹病変と合わせて,Lewy小体の出現頻度や分布をLewy小体病と比較検討する. 3.まとめ;Lewy小体を有するMSAと有しないMSAの臨床病理学的な違いや特徴などを検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
標本作成代
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