研究課題/領域番号 |
24500425
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
三室 マヤ 愛知医科大学, 付置研究所, 助教 (20387814)
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キーワード | 多系統萎縮症 / パーキンソン病 / αシヌクレイン / レービー小体 |
研究概要 |
①Lewy小体を有するMSAとPDとの病理学的比較 目的:末梢組織におけるMSAとPDのsynuclein病理の相違を明らかにするため,多数のMSAの交感神経節及び全身臓器(消化管・心臓・副腎)を臨床神経病理学的に詳細に検討した. 対象と方法:当施設で病理診断されたMSA161例中,交感神経節が採取されている65例(MSA-C 34例,MSA-P 27例).平均死亡時年齢67.6歳(MSA-C 68.7歳,MSA-P 66.6歳),男:女は34:30(MSA-C 17:17,MSA-P 17:13),平均罹病期間8.8年(MSA-C 9.8年,MSA-P 7.8年).ホルマリン固定パラフィン包埋した検体を厚さ4umに薄切した. HE,Gallyas-Braak(GB)染色及び抗リン酸化a-synuclein抗体(monoclonal,1:3000,WAKO)による免疫染色を施行した後,synuclein陽性構造物を評価した. 結果:HEでは,MSA65例中9例(13.8%)の交感神経節細胞や神経突起の中にLewy小体様構造物を認めた.リン酸化synucleinによる免疫染色では,65例中40例(61.5%)にsynuclein陽性構造物を確認できた.交感神経節陽性40例中,31例77.5%は一つの神経節に1-数個ていど,点状あるいはneurite様の構造物を認める程度であった.しかし,9例22.5%はPDと区別出来ないほど沈着量が多く,HEでもLewy小体やneurite様構造物を確認出来る傾向にあった.沈着量が高度な6例において消化管・副腎・心臓のsynuclein陽性構造物を検討したところ,5例83.3%にsynuclein陽性構造物を認めた. 結論:MSAの末梢組織におけるsynuclein病理は,PDのsynuclein病理と一部共通する機序の存在が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Lewy小体を有するMSAとPDとの病理学的比較について,多数例で検討し,MSAの末梢組織におけるsynuclein病理は,PDのsynuclein病理と一部共通する機序の存在を示すことが出来,ヨーロッパ神経学会で発表することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
Lewy小体を有するMSAとPDとの病理学的比較に関しては,今までの結果を論文にまとめたいと思う. また,今後の研究として,MSAの初期病理像の検討と,MSAの神経突起の病変について,多数例を用いて,病理学的に研究していきたいと思う.
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