研究課題
Non-Alzheimerタウオパチー症例剖検脳から抽出したタウ凝集シードを用いて,実験室モデル(培養細胞・トランスジェニックマウス)でのシード依存性凝集体形成の解析をめざした.recipient側モデルにはヒトタウ遺伝子を強制発現させたものを準備した.26年度に引き続いて,試行ごとの結果(recipient側での凝集体形成)のばらつきの解消,およびシードとしての効率の向上を図るため,様々な条件を試みたが,十分なレベルに到達できなかった.原因のひとつとして,Non-Alzheimerタウオパチーの多くで,Alzheimer型神経原線維変化のように「固い」線維形成がなされてない凝集タウが蓄積タウの大きな部分を占めている点が大きいと考えられた.これら疾患群の凝集蓄積タウの生化学的性質については,まだ十分に解析されていない部分があると推定される.またヒト脳病変との相同性を得るためにrecipient側としてオリゴデンドロサイト系細胞株を準備したが,導入ヒトタウ遺伝子の発現効率が低くシード投与実験まで至らなかった.より豊富なヒト由来グリア系細胞株ライブラリが望まれる.なお,上記と並行して進めた様々な抗タウ抗体による既存症例剖検脳タウ蓄積の免疫組織化学的解析を通じて,抗体の違い(認識するエピトープの違い)により染色結果が大きく変わることが改めて明らかになり,「タウ染色」の結果の解釈は今後この点を十分考慮に入れた再検討を行う必要があると思われる.これまでにも,このような視点での研究は少数発表されてはいるが,多数の抗体クローンと,様々なタウオパチー症例,かつ固定や死後時間等条件が異なる標本を持ち寄って「異常蓄積タウの所見」の多様性についてコンセンサス形成を進めることが望まれる.
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