本研究では、てんかんを惹起する様々な脳神経疾患における鉄沈着の有無や、その病理学的様式を検証した結果、海綿状血管腫や頭部外傷後遺症(挫傷後)の病変に出現する鉄沈着と、それによると思われるアストロサイト異常の形態を明らかにした。また、鉄沈着の多さがてんかん原性と関係しているという病理形態の計測学的な知見を得た。内側側頭葉てんかんの海馬において、頭部外傷に起因したと思われる鉄沈着の疾病構造を明らかにした。一方、明らかな器質敵な病変がない焦点部の約2%に鉄沈着が潜在していることを明らかにした。これらの知見は、てんかん外科治療の戦略策定のために資すると思われた。
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