研究課題/領域番号 |
24500440
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
近藤 慎一 安田女子大学, 薬学部, 准教授 (20404395)
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キーワード | 細胞内ストレス応答 |
研究概要 |
小胞体において構造異常を起こしたタンパク質、いわゆるミスフォールディッドタンパク質が過剰に蓄積した状態を、小胞体ストレスとよぶ。この小胞体ストレスからの防御機構として、小胞体ストレス応答と呼ばれる応答機構が細胞には存在する。 小胞体ストレスセンサーPERKのノックアウトマウスは、膵臓β細胞で細胞死が見られること、骨芽細胞において骨基質であるコラーゲンI型の分泌が低下していることが報告されていたが、神経細胞に関する報告はなかった。一方、ヒトPERK遺伝子は、Wolcott-Rallison syndrome (WRS)の原因遺伝子であることが報告されており、骨端形成異常、成長遅延、肝臓・腎臓不全、精神遅滞を呈する。3週齢のPERKノックアウトマウスの神経細胞を詳細に検討したところ、脳の委縮、特に嗅球において顕著に委縮していることが明らかとなった。細胞分裂の機構等に異常がないか、組織学的および分子細胞生物学的に検討を行っている。神経細胞の分化や脳高次機能に対して、小胞体ストレス応答不全マウスを使ったin vivoレベルの解析はほとんど報告がなく、神経疾患の発症メカニズムの解明に向けて、ブレークスルーになりうる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が、平成24年9月に現所属を移動したことにより、達成度はやや遅れ気味となっている。しかしながら、新所属においても研究設備は整っており、問題ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
主に以下の2点について、研究を遂行する。 (1)細胞分裂の亢進時期の同定: PERKノックアウトマウスの嗅球における細胞分裂時期の変化を、細胞分裂マーカーとして分裂中期の細胞を特異的に認識するリン酸化ヒストン3(phosphorylated histone 3, Phospho―H3)抗体による免疫組織化学等により、詳細に検討する。さらに、その他の細胞分裂マーカー等の発現についても詳細に検討する。 (2)細胞分裂が亢進している細胞の小胞体ストレス状態の検討: PERKノックアウトマウスの嗅球を、BiPやXBP1など小胞体ストレスマーカー遺伝子の発現を検討することで、小胞体ストレス状態を詳細に検討する。さらに、小胞体ストレスモニターマウスのERAIマウスとPERKノックアウトマウスを掛け合わせることで、小胞体ストレス状態の履歴を個体レベルで検討する。
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