研究課題/領域番号 |
24500441
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
林 秀樹 熊本大学, 大学院先導機構, 特定事業教員(特任助教) (90508657)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 緑内障 / リポ蛋白 / 神経保護 |
研究概要 |
緑内障は、視神経を構成する網膜神経節細胞の変性・消失を特徴の一つとした視神経変性疾患であり、我が国の第一位、世界では白内障に次いで第二位の失明原因疾患である。現時点で治療効果が証明されている唯一の治療法は、眼圧下降であるが、新たな作用機序の治療薬として神経保護薬の開発が期待されている。研究代表者は以前の研究で、グリア細胞由来のアポリポ蛋白(アポ)E含有リポ蛋白が、栄養因子欠乏による細胞死(アポトーシス)から網膜神経節細胞を強力に保護することを明らかにした。 本研究ではヒト緑内障の発症原因の一つとして考えられているグルタミン酸興奮神経毒性に注目し、ラット初代培養網膜神経節細胞を使用して、グルタミン酸に対するアポE含有リポ蛋白の神経保護効果とその機構を解析した。その結果、アポE含有リポ蛋白が、グルタミン酸添加により誘導されるグルタミン酸受容体(N-メチル-D-アスパラギン酸受容体)を介した細胞内への過剰カルシウム流入を抑制すること、また細胞死を誘導する酵素(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3ベータ)の活性を抑制することにより、神経細胞を保護することを明らかにした。さらに緑内障モデルマウス(グルタミン酸-アスパラギン酸トランスポーター欠損マウス)を使用した実験では、人工的に再構成したアポE含有リポ蛋白の硝子体内投与により、網膜神経節細胞の消失を部分的に抑制することに成功した。これらの結果は、アポE含有リポ蛋白による神経保護機構が、緑内障で誘導される視神経変性に対し、治療効果を発揮できる可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養網膜神経節細胞を用いた、グルタミン酸興奮神経毒性に対するアポE含有リポ蛋白の神経保護効果と、その機構の一部を解明し、緑内障モデル動物での保護効果も確認できたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、交付申請書に記載した研究計画に沿って推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用は、交付申請書に記載した内容に沿って行う計画である。
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