研究課題
神経ガイド分子セマフォリン3A(Sema3A)は神経突起の伸長を抑制して、神経回路形成を制御する。またSema3Aは神経再生の抑制因子としても作用する。本研究ではSema3Aの細胞内情報伝達分子CRMP1がアクチン骨格結合蛋白質Filamin-Aと相互作用して、アクチン細胞骨格を調節することを見いだした。また、この研究成果は2014年10月にNature Communicationsに発表された(1)。まず線虫においてCRMP1相同分子のUNC-33と相互作用するFilamin-1を同定した。UNC-33とFilamin-1はともに、線虫のセマフォリンSema2Aの神経ガイドに関与した。脊椎動物のFilamin-Aも同様にSema3A情報伝達に関与し、Filamin-AとCRMP1との間に物理的かつ機能的な相互作用が認められた。Filamin-Aはアクチン結合領域(ABD)とIg反復配列24個から構成される紐状の分子である。CRMP1はABDとC末端側Ig24に結合してFilamin-Aの分子形態を変化させることを、精製CRMP1やFilamin-A蛋白質を用いた原子間力顕微鏡による形態解析から解明した。また立体構造情報を元にして相互作用部位のマッピングを行い、同定した相互部位のアミノ酸置換がSema3A情報伝達を阻害することを明らかにした。今後はCRMP1-Filamin-A相互作用を阻害する薬物を見いだし、Sema3A阻害による神経再生の新たな方法へと発展させたい。1) Nakamura F. et al. Amino- and carboxyl-terminal domains of Filamin-A interact with CRMP1 to mediate Sema3A signalling. Nat Commun. doi: 10.1038/ncomms6325.
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Nat Commun
巻: 5:5325 ページ: 1-14
10.1038/ncomms6325. 2014.
http://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/res/nakamura_201410.html