研究課題/領域番号 |
24500444
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
山下 直也 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40508793)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | プレキシン / セマフォリン / グルタミン酸受容体 / 樹状突起成熟 |
研究概要 |
PlexA4とGluA2の相互作用が、Sema3Aを介した樹状突起成熟に関与するかを明らかにするために、海馬培養ニューロンを用いた解析を行った。まず、in situ PLA法という相互作用の検出法を用い、PlexA4とGluA2の相互作用が観察される細胞区画を調べた。その結果、Sema3A刺激により、PlexA4とGluA2の相互作用シグナルは、まず細胞体において観察された。さらにこのシグナルは樹状突起へと移行することが分かった。したがって、Sema3AはPlexA4-GluA2からなる複合体を樹状突起へ移行させることが明らかとなり、これらが樹状突起成熟に関与する可能性が示唆された。そこで、PlexA4側の相互作用部位である、PlexA-IPTドメインから成る可溶型タンパク質を発現・精製し、その培養ニューロンにおける効果を検討した。その結果、Sema3Aによる樹状突起成熟促進作用が、可溶型PlexA-IPTの添加により抑制されることが分かった。興味深いことに、可溶型PlexA-IPTの添加は、Sema3Aを介した樹状突起成熟は阻害したが、Sema3Aによる軸索成長円錐の退縮応答は阻害しなかった。したがって、可溶型PlexA-IPTは、Sema3Aの樹状突起への作用のみを特異的に阻害できることが分かった。また、GluA2のノックダウンベクターの作製にも成功し、GluA2をノックダウンすると、Sema3Aの樹状突起成熟作用は抑制された。これらから、PlexA4-GluA2複合体がSema3Aを介した樹状突起成熟に関与するが明らかになった。 PlexA4-GluA2複合体に、他にどのような分子が含まれるかについても検討した。FlagタグつきPlexA4を安定発現する細胞株を樹立に、相互作用タンパク質を網羅的に同定したところ、細胞内輸送に関連するいくつかの相互作用分子が同定できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の平成24年度の研究実施計画に記した、可溶性PlexA-IPTの添加実験、GluA2のノックダウン実験、PlexA4に相互作用する新規分子の同定に関して、概ね予想通りの結果が得られたから。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画通り順調に進んでいるので、今後も申請時に記した計画に従い、グルタミン酸受容体のような、PlexA4が含まれる輸送小胞内に存在する分子と、これらのSema3Aによる樹状突起成熟促進作用との関連を明らかにする。昨年度は主に培養ニューロンを用いたin vitroの研究が主体であったが、最終年度に向け、個体レベルでのin vivo解析の準備を進めるようにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年度同定されたPlexA4に相互作用する分子について、予想より多くの分子が同定されたため絞り込みに時間がかかった。そのため、当該分子を認識する抗体の購入が年度内にできず余剰金が生じた。従って、次年度に目的の抗体を購入するのために使用する予定である(物品費として使用)。
|