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2013 年度 実施状況報告書

ピロカルピン処理マウスにおける脳由来神経栄養因子と不安様行動の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24500446
研究機関北里大学

研究代表者

板倉 誠  北里大学, 医学部, 准教授 (30398581)

キーワード脳神経栄養因子 / 不安様行動 / ProBDNF / ピロカルピン / アストロサイト / Furin / PC1/3
研究概要

平成24年度は、脳神経栄養因子(BDNF)の高感度ELISA系の確立し、神経モデルPC12細胞からのproBDNFとmatureBDNFの開口放出はカルシウム濃度依存性が異なることを明らかにした。本年度は、グリアモデルであるC6細胞を用いて、BDNFの開口放出機構の解析を行った。C6細胞ではPC12細胞と異なり、proBDNFからmatureBDNFへの細胞内切断はわずかしか起こらなかった。またC6細胞からカルシウム依存的にproBDNFが開口放出されたが、matureBDNFの放出は検出限界以下であった。前年度および本年度の結果は、BDNF分泌の制御機構の解明には、proBDNFがどのように細胞内切断されるかを明らかにすることが重要であることを示している。そこでfurinおよびPC1/3の発現ベクターと抗体の作製を行った。FurinとPC1/3をHEK293細胞に発現した後、作製した抗体でイムノブロットしたところ、抗furin抗体は発現したfurinを特異的に認識したが、抗PC1/3抗体はシグナルを検出できなかった。しかしながらPC1/3の市販抗体 (Cell signaling technology)では特異的なシグナルが検出できた。そこで次に、PC12細胞にfurinあるいはPC1/3とBDNFを共発現させ、proBDNFとmatureBDNFの存在比が変化するか検討を行った。その結果、furinおよびPC1/3の発現はproBDNFの切断を促進することがわかった。
また、ピロカルピン処理マウスについて、BDNFのin situ ハイブリダイゼーション法による検出を行った。通常法ではシグナルを検出することができなかったが、チラミドシグナル増幅法を用いることで、歯状回顆粒細胞およびCA3錐体細胞が存在する領域にBDNFのmRNAが観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の研究では、proBDNFのmatureBDNFへの切断がBDNF分泌制御に関与するかを明らかにするためのツールとして、furinおよびPC1/3の抗体や発現ベクターの作製までは行えたが、細胞内でのfurin,PC1/3の機能解析までは辿りつけなった。
またin situ ハイブリダイゼーションについてもBDNFの検出まではできたが、免疫染色との二重検出実験はうまくいかず、発現細胞の同定にはいたらなかった。
さらにp75受容体ノックアウトマウスのバッククロスがあまり進まずピロカルピン処理マウスの不安様行動とp75受容体の関連性について調べるところまで実験が進まなかった。

今後の研究の推進方策

1. 細胞内プロテアーゼ furinおよびPC1/3が、BDNFの切断と分泌に対してどのような作用を示すかを、PC12細胞や初代培養アストロサイトを用いて検討していく。
2. 初代培養アストロサイトにBDNFを強制発現し、カルシウム濃度依存的にproBDNFやmatureBDNFが開口放出されるか調べる。
3. 前年度に行えなかった p75受容体ノックアウトマウスのピロカルピン処理と行動実験を行う。
4. ピロカルピン処理マウスの不安様行動に関与するBDNF以外のタンパク質をLC-MS/MSを用いたプロテオーム解析によって同定する。

次年度の研究費の使用計画

ピロカルピン処理マウスの不安様行動と発現量が相関を示すタンパク質の同定実験が、他の実験の遅れから実施できなかったため。
本年度に行うピロカルピン処理マウスの不安様行動と発現量が相関を示すタンパク質の同定のためのプロテオーム解析の物品費として使用する。

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公開日: 2015-05-28  

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