研究課題
海外共同研究者のL. Zecca博士 (イタリア高等医科学研究所)から天然のSNおよびLC由来NMの供与を受け、NMの構造解析を進めた。SN由来およびLC由来のNMをアルカリ性過酸化水素酸化および還元的HI水解して得られた分解産物を定量した。なお、新規メラニンマーカー(AHPAA、AHEB)は、Molecule, 2014に記載した方法で新たに合成した。今回、過酸化水素酸化法によりTDCAおよびTTCAが得られたことは、NM中にPM由来の構造単位があること、PDCA、PTCAが得られたことはDAまたはNE由来の構造単位が含まれていることが示された。また、HI水解によりAHPEA、AHPAA、AHEBおよびAHPが得られたことは、NM中にDA、DOPA、DOPACのシステイニル体が含まれていることが示された。以上の結果からSN由来およびLC由来のNMは、DAおよびNE由来のみならず他のカテコールアミン由来神経に存在するいくつかのカテコールアミン類(DOPA、DOPAC、DOMA、DOPEおよびDOPEG)に由来していることを暗示していた。この分析からはSN-NMとLC-NMともに上記の分解産物が得られたため、LC-NMとSN-NMの明確な違いが判別できなかった。そこで5%チオグリコール酸および1%フェノール存在下、6M-塩酸で110℃、6時間、天然のSN-NM とLC-NMの加水分解反応を行った結果、SN-NMからは遊離型およびタンパク結合型DA、DOPAおよびCys-DAが得られた。一方、LC-NMからはDA、Cys-DAおよびDOPAが得られたが主生成物として構造未知化合物が得られた。驚いたことに目的とするNEは得られなかった。そこでこの化合物を単離精製し、構造研究を行ったところ、この未知化合物はβ-カルボキシメチルチオ-DAであることが同定された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Molecules
巻: 19 ページ: 8039-8050
10.3390/molecules19068039