研究課題
ミクログリアにおいてモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)はLPS依存的に転写が抑制されるが、プロテアソームによる分解から免れて安定化する。MAGLの発現制御を担う転写因子を明らかにする目的で種々の特異的阻害剤で処理した結果、Stat6がMAGLの転写調節を担っていることを明らかにした。更にStat6阻害剤AS1517499で処理した場合はLPS依存的なIL6及びTNFαの転写誘導の亢進が見られた。NFκB/IκB阻害剤BAY11-7082で処理した場合には、LPSによるMAGLの転写抑制からの部分的な回復が見られたことから、定常状態下のStat6依存的なMAGLの転写因子複合体は、LPSで活性化するNF-κB複合体の一部の因子を共有することが示唆された。またミクログリアにおいてMAGLをsiRNAにより発現阻害した場合や内在性MAGLを有しないBV2細胞にMAGLを発現させた場合にコントロールと比較して炎症性サイトカインの発現誘導に影響が見られなかった。即ちLPS依存的なミクログリア自律的な炎症性サイトカインの産生にはMAGLが必須ではないことが示された。またミクログリア由来のABHD12(α/β hydrolase-domain containing 12)の発現はBV2細胞のCSF1依存的な増殖活性を負に制御し、その発現阻害もまた血清依存的な増殖を阻害した。更に初代培養ミクログリアの単離培養系においてABHD12の発現を阻害すると細胞死が誘導された。炎症条件下におけるABHD12の機能を調べるために、虚血状態でのミクログリアの活性化状態を模倣するlipotichoic acid(LTA)でBV2細胞を処理し、ABHD12の機能を阻害した時の細胞増殖に対する抑圧ストレスに関わる種々の分子やシグナル経路について解析を行った。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Neuropathology
巻: 34 ページ: 49-57
23711246