研究課題/領域番号 |
24500458
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平山 正昭 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283435)
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研究分担者 |
中村 友彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00437039)
渡辺 宏久 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10378177)
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
寳珠山 稔 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30270482)
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キーワード | パーキンソン病 / 脳磁図 / 一次視覚野 / 一次感覚野 / 認知症状 / 痛み関連電位 |
研究概要 |
脳磁図、MRIを用いて、パーキンソン病における痛覚異常や幻覚症状の解明のためにMEGを用いて視覚刺激による一次視覚野までの障害の程度(VEFを計測)を行った。方法は全頭型160チャンネル軸型脳磁計(PQ1160C,横河電機)を用いて、安静仰臥位にて被検者前面に視覚刺激を提示した。Sample Rate 10000Hz, High pass filter 5Hz, Low pass filter 100Hz, Hanning windowを用いた。今回は以下に見られるような画像を0.7秒間表示で交互に提示し、それによる誘発脳磁記録から第一次視覚野まで、およびそれに追随する反応で200msまでの電流源推定を行った。 また、MRIを用いて視覚野、感覚野への伝導路の形態的異常を3.0T T1強調画像、画像は、Matlab上で動作するSPM8にVBMツールをアドインして解析した。取り込んだ画像は、灰白質と白質に分割化した後に、灰白質をMNI空間に標準化した。さらに、Dartel処理を行い、平均画像に繰り返し合わせ込みを行った。パーキンソン病の運動障害の進行度は、UPDRS、認知機能はMMSE、FAB、MOCA-Jを用い、認知機能と関連が強いにおい検査としてのOSIT-Jを行った。視覚の刺激提示は、視覚反応要素を単純化させるため、黒白のchecker flag模様と明暗だけの白黒刺激を行った。また、視覚刺激に関しては、半側視野刺激とし一次視覚野に出現する視覚誘発磁界を測定しやすくした。現在、まず加齢の影響を考えるために、若年者(20歳代)と高齢者(60歳代)について解析した。Checker刺激、non-checker刺激を解析した。表にあるように、checker刺激によって、2,3波の潜時の差とピーク潜時は共に有意差がみられたが、non-checker刺激では有意差はみられなかった 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加齢の影響を解析し得たため、現在パーキンソン病患者におけるVEFの変化を解析している。症例数はすでに15例以上になっており高齢対象も17名あり、統計解析に十分な量を得られている。パーキンソン病とは、加齢に伴う変化以外の部位で違いが観察されてきており加齢に伴う変化と疾患に伴う変化区別できる可能性が考えられる。疾患の解析においても、検査方法に一部困難さがあるために認知機能の低下が軽微であり幻覚などの症状もないパーキンソン病患者を選んで測定しているにもかかわらずすでに、age matchした高齢者と有意な違いが見られた。しかし、パーキンソン病患者でややartifactが多く見られるため、現在は解析方法や得られたデータの選択を精密におこないよい正確なデータにしている。現在のところMRIによる脳の萎縮度はあまり高齢健常者と大きな違いがない。そのために、MEGの異常とは明らかな関連を見いだせていない。これは、現在早期患者を対象にしているためと考えられ、逆に電気生理学検討はより早期の脳の異常を検出し得ると考える。視覚刺激に加え、二重電気刺激による感覚神経の刺激による一次感覚野の反応も観察しており、連続刺激による一次感覚野の抑制反応が加齢により低下するという興味ある結果を得ている。さらに、パーキンソン病患者では、健常高齢者とN20,P30の回復曲線に差異が見られこれがパーキンソン病患者の痛みの認知に関わっている可能性が考えられている。副次的産物として、酸化的ストレス物質の測定を行っていたが、パーキンソン治療の差異によってはその上昇度が抑制されることが観察されている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度行った加齢変化による視覚刺激による誘発脳磁図に加え、パーキンソン病患者での解析を行うため症例数の増加を行う。また、一部では、年単位での変化がないかを観察している。T1強調画像による脳萎縮の程度、diffusionMRIによるFAマップ、MDマップを作成しより微細な脳の機能変化を解析し誘発磁界の変化との関連を解析だけでなく、安静時のfMRIも測定することで脳内ネットワークの変化とこれらの神経症状との関連を検討している。視覚刺激による誘発脳磁図による成分がパーキンソン病患者の非運動症状と相関が見られてきているためこの異常の原因が網膜に存在するのか、視覚経路に存在するかを網膜電図を併用することで検討する要諦である。刺激タスクが患者において十分行えるかを検討するため継承例でのみ行ってきたが、中等度の症例でも測定が可能であることが分かってきたためより重症な患者群も検討することで臨床症状の進行との関連も解析を行う予定である。 視覚刺激による誘発脳磁図のみでなく同時に二重電気刺激による感覚神経の刺激による一次感覚野の反応も途中から加えて観察している。これは連続刺激による一次感覚野の抑制反応が加齢により低下するという興味ある結果を得ている。また、パーキンソン病患者では、健常高齢者以上にその抑制の機構が破綻している傾向があり今後症例を増加させることで明らかになったため更に、音刺激での際もないかを合わせて検討する予定である。また、この結果をふまえて脳磁図では施設による臨床応用が難しいことから、平素用いられる脳波計を用いて同様の現象を観察し得ないかを順次行なっている
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次年度の研究費の使用計画 |
脳磁図やMRIの使用料金は15000円単位であり今回の残高では使用できず、次年度に繰り越して使用料金として使用するため 脳磁図、脳MRIの使用料金に補填するために使用する予定
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