研究課題
脳磁図(MEG)、MRIを用いて、パーキンソン病における痛覚異常や幻覚症状の解明のためにMEGを用いて視覚刺激による一次視覚野までの障害の程度(VEFを計測)を行った。対象は、若年群14例、PD患者と年齢がマッチした高齢群17 例、PD 患者群10例とし、MEGを用いてVEFを測定した。左側視野のChecker/non-checkerイメージを視覚刺激として用い、被験者には画面中央の光る点を注視するよう指示した。VEF波形は、すべての被験者で50~250msの遅延範囲で記録された。視覚野で導出される4つの主要なVEF構成成分は、200ms前に出現した。Checker刺激のセッションで、各VEF構成成分の第2(3M)および第3(4M)潜時に若年群と高齢群、PD患者の間で有意差が見られた。PD患者群では、1Mの潜時が高齢者に比し有意に延長していた。また1M、2M,3Mすべての推定電流強度が高齢群よりも大きかった。Non-checker刺激のセッションでは、3群間に差はみられなかった。臨床訴状では、OSIT-Jの値が、PD患者で低かった。さらに、1Mの潜時はOSIT-J、UPDRSpart3と有意な相関が見られた(r=0.849,0.87)。DTIやVBMなどの脳機能解析では、有意差はなく萎縮度と各種パラメータとの相関もなかった。以上の検討から、PD患者では、視覚の伝導が障害されているが、この異常は早期のcomponentから見られるため、網膜の異常を反映している可能性が考えられた。PD患者では、すべてのコンポネントの推定電流は高齢者より亢進しているが、この現象はVEF構成成分の過剰もしくは抑制異常を反映している可能性が考えられた。脳機能画像で今回は明らかな差は見られなかったが、その理由として今回の対象者は認知症を含めなかったことが考えられる。しかし、MEGでの異常や他の臨床症状との関連が見られたことは、この誘発MEGはより鋭敏な機能異常を評価できる可能性が考えられた。
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