研究課題/領域番号 |
24500464
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
籾山 俊彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20230055)
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キーワード | シナプス伝達 / ムスカリン受容体 / ドーパミン受容体 / プリン受容体 / カルシウムチャネル / 細胞内受容体 / カルシウムチャネル |
研究概要 |
1) 中枢シナプス伝達における細胞内受容体の機能は不明であったが、本年度本研究において、海馬の興奮性シナプス伝達の長期増強におけるムスカリン性アセチルコリン受容体の機能解析を行ない、細胞内ムスカリンM1型受容体が長期増強の誘導および維持を修飾することを見出した(論文1)。 2) ヒト副腎皮質由来の培養細胞を用いて、細胞内カルシウムイオン動態におけるプリン受容体の機能を明らかにした(論文2)。 3) 研究代表者はこれまでに、中枢シナプス伝達におけるドーパミンの修飾作用および関与する受容体サブタイプに関する薬理学的解析を行ってきたが、本年度本研究においては、ドーパミンD2受容体ノックアウトマウスを用いて、線条体のGABA性シナプス伝達におけるドーパミンおよびD2受容体の生理的機能を明らかにした。特に、代表者が薬理学的に解明していたドーパミン受容体と特定のカルシウムチャネルとの選択的共役に関して、より強固なデータを得ることができた(論文3)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
興奮性シナプス伝達における細胞内ムスカリン性受容体の機能、および抑制性シナプス伝達において生理的に遊離されたドーパミンおよびそれを受容するD2受容体の機能を明らかにすることができたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。各々中枢神経系における細胞内および細胞膜表面の機能分子の機能解明として、意義ある成果と考えられる
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今後の研究の推進方策 |
1) 解析途上である、核内転写因子による線条体シナプス伝達修飾機構の解析を進める。ノックインマウスを用いて、これまでに、グルタミン酸性シナプス伝達におけるAMPA成分とNMDA成分の比率に対する修飾作用に関するデータをえているが、さらに、生理活性物質による修飾作用に及ぼす転写因子の影響についても解析を進める。これによって、細胞表面、細胞内のみならず、中枢シナプス伝達における核内因子の昨日にも迫ることを試みる。 2) ドーパミンおよびドーパミン受容体の生理的機能に関する重要な指標として、ドーパミン受容体ノックアウトマウスを用いた行動解析を行なう。具体的には、全運動量および精緻な運動遂行能力の評価を行なうことによって、生理的機能に関する理解を深めることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物および薬品類の費用は、同時に学内で交付されていた研究奨励費を主として充当したために、当該の金額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせ、実験動物(ラット、マウス)、薬品類、混合ガス、データ保存用テープ等の消耗品代として使用する。特に翌年度は、カルシウムチャネルブロッカー、抗体等の高額品を使用する実験計画があり、その費用として充当する。
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