研究課題
脳幹は、生命活動に関わる多くの情報が直接入・出力し、処理・統合される重要な領域である。脳幹では、末梢からの情報の伝達回路と、脳幹に内在する自発興奮の伝達回路とが混在しており、これらは互いに影響をおよぼし合いながら機能的に形成・調節されていることが推察される。我々は、脳幹の機能的構築・形成過程を明らかにする目的で、膜電位の光学的イメージング法を発生期の中枢神経系に適用し、一時中継核や二次中継核を同定し、それらの機能形成過程を明らかにしてきた。一方その研究過程で、外来性入力や自発興奮活動によって、中枢神経系のほぼ全領域にわたって広範に伝播する脱分極波が誘発され、それに引き続き、Ca waveが引き起こされることを見いだした。本申請研究では光学的イメージング法を中心に、①脳幹神経回路網の形成の時空間的ダイナミズムの解明と、②脱分極波の神経回路網形成における役割の解明を進めた。平成24, 25年度には、脳神経刺激により誘発される応答領域の同定、応答領域の協関関係の時空間的解析、形態形成との比較、脱分極波の時空間発現パターンの解析、脱分極波の伝播メカニズムの解析を行った。これをもとに、平成26年度は、以下の通り研究を進めた。①自発興奮波の時空間パターンとペースメーカー部位の同定:脱分極波は自発的にもおこることを見出したが、この自発興奮波の機能的意義を明らかにするために、その発生のoriginを同定した。②自発興奮波の伝播メカニズムの解析:自発興奮波の広がりは、これまでに解析を行ってきた非自発性(刺激誘発性)の脱分極波とよく似ているが、同一のネットワークを介しているのかは未だ不明であった。そこで、全脳―脊髄標本に、様々な神経伝達物質ならびにgap junctionのblockerを投与して、自発興奮波がどのように阻害されるのかを調べ、伝播ネットワークのメカニズムについて解明した。
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