研究課題/領域番号 |
24500467
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
小泉 周 生理学研究所, 細胞器官研究系, 特任教授 (10296551)
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研究分担者 |
中澤 徹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30361075)
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キーワード | ニューロン・シナプス・神経回路 / 網膜 / 視覚情報処理 / 組織培養 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
本研究は、生体哺乳類網膜の視覚情報処理において異なる機能を示す12種類の網膜神経節細胞(RGC)のシナプス統合過程の違いを知るため、樹状突起上の抑制性シナプスの空間的な分布の特徴を明らかにし、視覚情報処理機能との関係を調べることである。そのために、申請者の開発した生体哺乳類の網膜組織培養法を用いて、遺伝子銃によって抑制性シナプス・マーカー(プラスミド)を遺伝子導入し、樹状突起上の抑制性シナプスの位置を可視化して、その分布特性を解析することを目的とした。 これまでに網膜組織培養法についてはげっ歯類動物とウサギで成功していたが、平成25年度は、網膜組織培養法と遺伝子銃によるを、霊長類(マーモセット)網膜に応用し、成功させた。とくに、マーモセット網膜に対してGFPの遺伝子導入を行い、これまで主として考えられていたMidgetやParasol神経節細胞以外のさまざまな種類の網膜神経節細胞を発見した。霊長類網膜の情報処理は比較的シンプルで単純なものと考えられていたが、これまで知られていたよりも複雑で多様であることが明らかになった。 また、その神経回路基盤として、シナプス統合過程が、細胞ごとにどのように違うのか、PSD95-GFPの遺伝子導入により明らかとした。これによって、とくにナローソニー神経節細胞が特異的にDB6双極細胞とシナプス結合し、さらに、視床の外側膝状体のK1層に投射している事実を明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網膜組織培養法を、より高度な視覚情報処理をしていると考えられる霊長類網膜にも応用し、成功させた。
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今後の研究の推進方策 |
霊長類網膜の神経節細胞のdiversityを探索するとともに、その基盤となる抑制性シナプス入力の違いを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を行う部屋の引っ越しに伴い研究がストップしたため。 引き続き、網膜組織培養法と遺伝子銃を用いた遺伝子導入を行う。とくにパッチクランプ法を用いた色反応の解析を行い、それぞれの色反応に対する網膜神経節細胞におけるシナプス統合過程の違いを明らかとする。
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