研究課題
基盤研究(C)
骨格筋小胞体は細胞内Ca2+ストア機能に特化したオルガネラである。申請者らは長年筋小胞体膜タンパク質を新規同定し、その機能を明らかにする生物学研究を手掛けてきた。数年前に見出したミツグミン56 (MG56)と命名した膜貫通タンパク質は筋小胞体の終末部に分布し、心臓と骨格筋に特に強く発現している。発生学的には、生後5日目くらいから確認され始めその後急激に増加していく。またMG56遺伝子欠損マウスは生後1週間あたりから発育不良を呈し生後2週間までに死亡する。ノックアウトマウスの異常が認められ始める時期とMG56の発現開始時期が重なることは、MG56の生理機能の重要性を強く示唆していると考えられる。MG56の生体内機能の解明へ向けた本研究推進により、横紋筋等の興奮性細胞におけるCa2+シグナル解明やヒト筋肉疾患の原因遺伝子ではないか、などユニークな学術的貢献となることが期待される。既に樹立していたMG56ノックアウトマウスの解析を優先的に実施した。。MG56ノックアウトマウスは、生後1週くらいから体重減少し始め、生後2週までに全て死亡する。組織学的解析により、生後7日目のノックアウトマウスの骨格筋小胞体は空砲がみられる異常所見が認められた。また、同じ時期の血液生化学的検査や胃のミルクが生後7日以降減少し死亡した時にはほとんど認められないことより、死因はミルク摂取障害による飢餓と考えられる。
2: おおむね順調に進展している
ノックアウトマウスを樹立していたため、組織学的所見や、明らかな表現型の異常は順調に検査できた。しかしながら、その表現型と新規タンパク質MG56の機能との関係はこれからの課題である。
1.ノックアウトマウスの解析:ノックアウトマウスがミルク摂取障害により死亡することの原因解明のため、筋肉の聴力測定を計画している。MG56は骨格筋に多く発現しているので、まず筋肉に異常かないかを検討する。2.タンパク化学的解析:MG56のタンパク化学的性質を明らかにするために、まずはウサギ骨格筋からの精製法を確立する。総膜分画を調整し、可溶化の後、抗体カラムに吸着させたMG56を抗原ペプチドを加え競合的に溶出する。可溶化試薬や可溶化条件、抗体カラム時の塩濃度等の最適化を行い、高純度MG56調製法の確立を急ぐ。得られる精製試料を化学架橋薬処理することにより、MG56の多量体形成能を明らかにする。また、免疫沈降法によりMG56に結合するタンパク質の同定をめざす。
該当なし
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