研究課題
小胞体タンパク質MG56は別名HHATL(hedgehog acyltransferase-like)とも呼ばれ、成獣マウスでは骨格筋、心筋に高発現しているが機能は不明なタンパク質である。そこでMG56の機能解析を研究テーマとして実験を行なった。発生学的にはその発現量は生後1週あたりから爆発的に上昇しそのまま維持される。MG56/HHATLはその名前が示すようにヘッジホッグタンパク質にパルミチン酸を転移する酵素(HHAT: hedgehog acyltransferase)と相同性が高く、従って機能解析のアプローチとして脂肪酸転移活性の有無を検討した。またノックアウトマウス(KOマウス)を作製しその表現型から機能解析を試みた。1.酵素活性の検討:コムギ無細胞系による組み換えタンパク質合成、もしくは培養細胞への一過性強制発現によりMG56を発現させパルミチン酸転移酵素の活性を検討した。パルミチン酸を受け取るタンパク質としてリアノジン受容体、ジャンクトフィリン、カルセクエストリンを候補と考え、タンパク質を同じくコムギ無細胞系により合成し、14C-パルミチン酸の取り込みを調べた。残念ながらこれらタンパク質にパルミチン酸の取り込みは確認できなかった。2.KOマウスの解析:MG56KOマウスは正常に生まれ、1週間までは他の遺伝子型と変わらず発育する。しかしながら1週を過ぎると体重増加がなくなり2週を経過できずに死亡する。その原因としてはKOマウスを解剖すると胃内のミルク含有量が減少しており、9日目以降はミルクがほとんどなくなることから飢餓による死ということが考えられた。MG56が高発現している骨格筋をジーンチップにより解析し、重篤な小胞体ストレスの発生を見出し、MG56は筋肉の成熟に必須であることを報告した。
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