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2013 年度 実施状況報告書

生体脳内シナプス可塑性に伴うアストロサイト機能の観測

研究課題

研究課題/領域番号 24500475
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

三嶋 恒子  独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90415307)

キーワードアストロサイト / 二光子 / 可塑性 / in vivo
研究概要

本課題ではシナプス可塑性ひいては記憶・学習の脳内メカニズムにおけるグリア細胞の役割を解明し、微小ネットワーク構造の動態への関わりを明らかにすることを目的とする。当該年度(H25年度)は初年度(H24)に確立した脳可塑性誘導プロトコルをもちいてArc-dVenus トランスジェニックマウスの脳に可塑的に変化を引き起こし、その前後で同一グリア細胞の形態および自発性Ca2+シグナルについての変化がみられるかどうか観測を行った(現在継続中)。このマウスではシナプスに可塑的変化が起こっていると考えられる神経細胞にdVenus蛍光蛋白の発現を確認することができるので、同一の個体において可塑的変化の起こっている神経細胞周辺のグリアと、変化のない領域でのグリアの動態を比較することができる。
1.観測対象のアストロサイトの微小突起を可視化するため、GFAPプロモーター付AAV9ウイルスベクターを用いて、蛍光蛋白を脳へ直接導入した。導入方法を改良し、より広範に感染させかつウイルス導入による観測エリアへの侵襲を抑えることができた。
2.観察対象のアストロサイトを可塑的変化領域と非変化領域で形態・動態を可視化することが可能となり、現在データを取得・解析中である
3.以上の実験において、神経細胞の可塑的変化の誘導前後で観測されるアストロサイトは観測位置・角度ともに完全に同一である必要がある。また、既に観測窓を脳にうがった動物を、炎症・感染などを避けて長期にわたり維持するため、標本作成方法および計測機器のセットアップを改良した。これにより観測アストロサイトの位置角度の固定は可能となり、また長期にわたる飼育におけるマウスの負担をより軽減することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

計画書中に記したうち「可塑性誘導プロトコルの確立」は初年度に達成、当該年度の予定「神経細胞群の可塑的変化に伴うグリア(アストロサイト)の形態的変化の観察」および「Ca2+動態の解析」については、遅れており、「無麻酔下動物での計測」には到っていない。これは二光子を用いた観察に必要な蛍光プラスミド導入プロトコルの検討に時間がかかった事(エレクトロポレーション法、ソノポレーション法を検討した)、および一連の実験(蛍光タンパク導入から2光子計測)のタイムコースが、当初の見積もりより長くかかる事(主に手術後の動物の回復時間)がわかったためである。現在蛍光プラスミドは、改良した方法で安定した導入が可能となり、データの取得・解析が進行中である。しかしながらデータ取得・解析には今しばらく時間を要する。

今後の研究の推進方策

dVenusにより標識された,シナプス可塑性が誘発されている神経細胞及び対照部位の神経細胞の樹状突起周辺のアストロサイトの細胞体及び局所での形態・Ca2+動態を二光子顕微鏡を用いて、引き続きデータを取得・解析を行う。イメージングデータに加えて、神経細胞群の活動をシリコン多点電極による脳波測定、マルチスパイク活動計測によりモニターする。以上取得したデータについて,Ca2+変動の頻度、振幅、持続期間等の1次的な計測の他に、細胞間同士の同期活動、場所・時間的な相関、dVenus発現細胞との位置関係等の微小ネットワーク構造の動態におけるアストロサイトの役割を究明する解析を目指す。

次年度の研究費の使用計画

実験に当たり可塑性誘導するための処理に必要な人件費を計上したが、H25年度は適当な人材が見当たらずその分が未使用額として残った。
H26年度請求額と合わせてデータ取得に必要なインラインヒーターおよび消耗品の購入を物品費として予定している。またH25年に確保できなかったが実験補助人員は依然必要なので人件費として、また本計画の研究発表準備および発表のための旅費が使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Volume transmission signaling via astrocytes.2014

    • 著者名/発表者名
      Hirase H, Iwai Y, Takata N, Shinohara Y, Mishima T
    • 雑誌名

      Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1098

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Imaging of astrocytic activity in living rodents.2014

    • 著者名/発表者名
      Takata N, Shinohara Y, Ohkura M, Mishima T, Nakai J, Hirase H.
    • 雑誌名

      Neuromethods

      巻: 85 ページ: 191-207

    • DOI

      10.1007/978-1-62703-785-3_12

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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