研究課題
基盤研究(C)
アデノウイルス注入法によりプルキンエ細胞特異的に蛍光カルシウムセンサータンパク質を発現させたマウスを用いて、二光子励起レーザー顕微鏡によるカルシウムイメージングおよび細胞外記録を同時に行い、登上線維入力によりプルキンエ細胞で生じる1回の複雑スパイクの発生を、測定されたカルシウムシグナルからデコンボルーション処理を施すことで精度良く検出できることを見出した。また、測定した個々のプルキンエ細胞のカルシウムシグナルの相互相関を計算することにより、小脳皮質上で相関した発火パターンを示すプルキンエ細胞群から成るマイクロゾーンの可視化を行った。マウスの頭部固定用装置を新たに作成し、麻酔下のみならず覚醒したマウスの小脳からプルキンエ細胞のカルシウムシグナルを検出可能な実験装置を構築した。さらに蛍光カルシウムセンサータンパク質を発現させたマウスから全脳を抽出し、パラフォルムアルデヒド固定の後にScale試薬により透明化を施し、二光子励起レーザー顕微鏡もしくはコンフォーカル顕微鏡を用いて蛍光観察することで、プルキンエ細胞の軸索を含む形態を測定可能であることを明らかにした。今後、体性感覚入力や歩行運動に伴い発火頻度が変化するプルキンエ細胞の活動を計測し、その後同一個体から単離した脳を透明化しプルキンエ細胞の形態を観察することで、本研究課題の当初の目的である体性感覚入力や歩行運動に関与する小脳皮質の機能的回路の全容の解明を目指す。
2: おおむね順調に進展している
今回新たに行った透明化単離脳の蛍光イメージングにより、蛍光カルシウムセンサータンパク質を発現させたプルキンエ細胞の軸索を含む形態観察が可能であることがわかった。この結果をもとに、今後3次元画像取得条件の最適化、および測定された蛍光画像から任意のプルキンエ細胞の軸索を正確にトレースするためのデータ解析方法の確立を試みる。
自発発火に相関を示す同じマイクロゾーン内に存在するプルキンエ細胞、およびヒゲに対する応答や歩行運動に伴い発火が上昇するプルキンエ細胞群を二光子イメージングにより同定し、観測後同一個体から摘出した全脳をScale試薬により透明化し、それぞれのプルキンエ細胞の投射先をトレースすることにより、神経回路の機能的回路を明らかにする。
主に消耗品代および旅費として使用する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Biochem Biophys Res Commun
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.bbrc.2013.02.112
J Biol Chem
巻: 287 ページ: 24563-24572
10.1074/jbc.M111.311399