エピソード記憶の脳内メカニズムを明らかにすることを目的として,脳梁膨大後皮質の損傷が偶発位置記憶テストのパフォーマンスに与える影響について検討した.この課題は過去の自身の行動について予期せぬ形で問うものであり,エピソード記憶の心的時間旅行の側面を調べることができる.12匹のラットに対してテストを実施した結果,過去に行ったレバー押しの位置情報を遡って思い出していることを示唆する行動データを得た.また,脳梁膨大後皮質を実験的に損傷した結果,過去の自身の行動を思い出すことに関わる反応が減弱した.このことは,エピソード記憶の一側面である心的時間旅行の能力に脳梁膨大後皮質が関わることを示唆している.
|