研究課題
「炎症」は多様な生命現象に関与しており、その中でIL-1は炎症制御に重要な役割を担っている。IL-1の内在性抑制性分子であるIL-1レセプターアンタゴニスト(Ra)を欠損させたマウスは多彩な表現型を示し、自己免疫性リウマチ様関節炎や「自己炎症」性乾癬様皮膚炎などを自然発症する。一方、IL-1Raには通常の分泌型に加えて細胞質内型アイソフォームが存在すること、細胞質内に存在するIL-1α前駆体は特定の条件下において核移行し転写因子として機能するなど、未だ不明な点が多く残されている。そこで本研究では、アイソフォーム特異的遺伝子欠損マウスを作製、解析することにより、IL-1Ra欠損マウスで見られる多彩な表現型の分子機構を明らかにし、また、新たな疾患モデル動物の確立を目指す。平成26年度は、BALB/c背景のIL-1Ra完全欠損、分泌型(s)IL-1Ra欠損、細胞質内型(ic)IL-1Ra欠損マウスの表現型のさらなる解析を進めた。s/icIL-1Raアイソフォームによる炎症抑制は、これら特異的欠損マウスを単独で用いた場合、リウマチ様関節炎および乾癬様皮膚炎についてはBALB/c背景でのみ明らかな機能が認められ、多くの場面で相互補完していることがわかった。一方、これらのマウスにノックインしたGFPは残念ながら蛍光強度が弱く、当初の計画に反してレポーターマウスとして利用するのは不適であることがわかった。以上のことから本研究により、削痩などは呈さず繁殖が良好な新規のリウマチ様関節炎モデルマウスとして、BALB/c背景のsIL-1Ra欠損マウスを樹立することができた。既に理研BRCに寄託済みであり、必要とする研究者が広く利用できるよう準備を進めている。
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