研究課題
基盤研究(C)
本研究では、自己免疫性1型糖尿病モデルKDPラットおよび研究代表者が新規に確立した自己免疫性甲状腺炎モデルPVG.KDP-Cblbラットを対象として、包括的メタボローム解析により病態発症過程の経時的な代謝プロファイルの変化(経時的代謝ダイナミクス)を明らかにする。膵臓および甲状腺における炎症や病態の発症・進展・重症化を鋭敏に反映する代謝物・代謝経路を同定し、細胞レベルおよび個体レベルの解析から病態生理学的な意義を検討することにより、メタボロームという新たな視点から自己免疫疾患の病態発症機構の解明に挑む。1. 1型糖尿病モデルKDPラットを対象とした包括的メタボローム解析平成24年度は1型糖尿病モデルKDPラットと対照のKND(Komeda non-diabetic)ラットについて、生後4週齢から糖尿病発症後まで1週ごとに採血を行って血漿サンプルを採取した。このようにして採取した血漿サンプルについてGC-MSを用いたメタボローム解析を行い、病態発症過程の詳細な代謝プロファイルの変化(経時的代謝ダイナミクス)を明らかにした。2. 自己免疫性甲状腺炎モデルPVG.KDP-Cblbラットを対象とした包括的メタボローム解析平成24年度は自己免疫性甲状腺炎モデルPVG.KDP-Cblb系統におけるCblb遺伝子座に関して変異型のホモ個体と対照の野生型個体について生後8週齢から発症後まで10週ごとに採血を行って血漿サンプルを採取した。このようにして採取した血漿サンプルについてGC-MSを用いたメタボローム解析を行い、病態発症過程の詳細な代謝プロファイルの変化(経時的代謝ダイナミクス)を明らかにした。メタボロームという観点から、自己免疫疾患の発症機構の解明ならびに自己免疫疾患の病態発症を鋭敏に感知する新規のバイオマーカーの同定につながる成果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
今年度は当初の目的に沿って順調に研究が進展した。
今後も当初の計画に沿って研究を遂行する予定である。1. 1型糖尿病モデルKDPラットを対象とした包括的メタボローム解析平成25年度以降はCE-MSによるメタボローム解析を行い、GC-MSによるメタボローム解析の結果を含めた検討から、膵島炎や糖尿病の発症を鋭敏に反映する代謝物・代謝経路を同定する。具体的には、前年度に採取した血漿サンプルについてCE-MSを用いたイオン性・高極性代謝物についてのメタボローム解析を行い、病態発症過程の詳細な代謝プロファイルの変化を明らかにする。対照系統との比較解析や経時的な動態解析から、炎症の開始・進展や病態の発症・進展・重症化を鋭敏に反映する代謝物・代謝経路を同定する。2. 自己免疫性甲状腺炎モデルPVG.KDP-Cblbラットを対象とした包括的メタボローム解析前述の1型糖尿病モデルの解析と同様に自己免疫性甲状腺炎モデルPVG.KDP-Cblbラットを対象としてCE-MSによる包括的メタボローム解析を行い、甲状腺における炎症の開始・進展や病態の発症・進展・重症化を鋭敏に反映する代謝物・代謝経路を同定する。
次年度の研究費は消耗品費、国内旅費およびその他として使用する計画である。消耗品費は、メタボローム解析や動物実験に必要な分子生物学試薬、一般実験試薬および実験用器具の購入のために必要である。国内旅費は、関連学会における成果発表や調査・研究のために必要である。その他は、動物飼育費(動物実験施設利用料)として使用する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
J. Diabetes Res.
巻: Article ID 103731 ページ: 9 pages
DOI: 10.1155/2013/103731
巻: Article ID 976209 ページ: 12 pages
DOI: 10.1155/2013/976209
http://www.med.kobe-u.ac.jp/phys1/