研究課題/領域番号 |
24500500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
橋本 晴夫 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (30353478)
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研究分担者 |
樋口 裕一郎 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (00596281)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アデノ随伴ウィルス / ヒト化肝臓マウス / 糖尿病 / PDX-1 |
研究概要 |
今年度は、(1)ヒト肝臓からランゲルハンス島に分化誘導するためのアデノ随伴ウィルス(Adeno-Association Vector, AAV)の構築および(2)ヒト肝臓を持つマウスの作製とラ氏島細胞への分化誘導転換の確認が設定目標である。 先ず(1)においては、ヒトEF1αプロモーターの下流にPDX-1-Ngn3-GFPの配列を繋げ、PDX-1、Ngn3およびGFPが同時に発現するAAV用発現ベクターを構築した。対照はGFPのみを発現するベクターとした。これらのベクターを構築後、細胞株として樹立されたマウス肝上皮細胞(Cancer Res. 49: 403-409, 1989)発現ベクターを導入し、PDX-1、Ngn3およびGFPの遺伝子発現およびタンパク発現の確認を行った。その結果、発現ベクターは、マウス肝上皮細胞へ導入後2日でインシュリン産生を行った。さらにこの2日間でMafA遺伝子を発現させていたが、細胞の形態は、導入前と大きく異なることはなかった。細胞実験により発現ベクターがインシュリン産生を行わせることが確認できたので、セロタイプAAV3を用いてAAVの作製を試みた。その結果、PDX-1、Ngn3およびGFPの遺伝子発現を持つAAV3を1×10の8乗個/μl作製できた。これをSTZにより糖尿病を誘発したNOGマウスに投与したが、現時点で高血糖を抑制するには至っていない。AAVの作製過程、特にAAVの精製に改良を加える必要があると思われた。 (2)においては、ヒト化肝臓マウスはTK-NOGマウスにヒト肝細胞であるnHEPESを移植し、作製することができた。 従って、今後の課題は効果的なAAVの作製とその効率化が課題になる。基本的なAAV2を使ってみるのも一手である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
もともと、過去の報告で効率の悪さが指摘されていたが、COS-7を宿主にしたAAV3の作製効率が予想以上に悪く、qPCRによる力価と実際の感染力が一致していない。この理由として、塩化セシウムはAAVの力価を下げると言われており、COS-7での産生効率の悪さに加え、超遠心法で用いる塩化セシウムがウィルスの感染力を著しく低下させているものと思われる。この改善策として、近年生体に無害として発売されているOpti prepと作製効率が良いと言われているAAV2に使用により、作製を試みる予定である。ヒト化肝臓マウスの作製については問題なく効率的に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
先に述べたように、Opti prepとAAV2に使用によりAAV作製の効率化を図る。 また、PDX-1およびNgn3による肝臓からランゲルハンス島への分化転換過程の解明も本研究課題の重要なテーマであるため、免疫染色の手法を中心にそのメカニズムの解明を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
アデノ随伴ウィルスを投与した細胞あるいはマウスで発現すると予測されるインシュリン分泌細胞のマーカー遺伝子であるMAFAの発現を確認するため、捕捉したDNAフラグメントのシークエンス解析費用の一部および細胞培養皿の購入費用の一部に充当する予定である。
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