研究課題/領域番号 |
24500501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
神沼 修 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (80342921)
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研究分担者 |
松岡 邦枝 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (40291158)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 疾患モデル |
研究概要 |
当初の研究実施計画に準じ、DTを投与することにより誘導的に好中球を欠損するマウスを樹立するためのTg用コンストラクトを作製した。まず、マウスゲノム配列情報をもとに特異プライマーを設計・合成し、IL1f9およびFoxD4のプロモーター/エンハンサー領域約10kbpを、ゲノムDNAを鋳型としたPCRによって合成、単離およびクローニングした。申請者らの業績に従い、それらの下流にDTRの翻訳領域と適切なイントロンおよびポリAシグナルを連結したコンストラクトを作製する。また同時に、上記エンハンサーの下流にイントロン-DT遺伝子-ポリA配列を連結して、好中球特異的にDT自身の発現を促し、恒常的に好中球を欠損するTgマウスを樹立するためのコンストラクトも作製した。 次に、作製したコンストラクトを適当な制限酵素処理によって直線化し、定法に従いマウス受精卵雄性前核にマイクロインジェクションした。その際、申請者らが樹立したT細胞依存性およびIgE依存性アレルギー性炎症モデルの多くがBALB/c系統をベースとした実験系であることから、本過程においてもBALB/c系統の受精卵を用いると同時に、受精卵の操作性・利便性を勘案して、C57BL/6系統の受精卵を用いたTgマウス作製も並行して行った。DNAをマイクロインジェクションした受精卵を偽妊娠ICRマウスに移植して産仔を得た。遺伝子導入陽性マウスの判定は、各マウスのゲノムDNAを鋳型とした導入遺伝子特異的プライマーによるPCR、ならびに末梢血より調整したRNAを鋳型としたDTRおよびDT特異的プライマーによるRT-PCRで行った。遺伝子導入が確認された個体は、正常マウスと交配して系統を維持・繁殖させた。その結果、IL1f9およびFoxD4プロモーターを用いた各マウスがそれぞれ3および4系統得られた。系統保存のために受精卵を凍結保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初の研究計画をほぼ完遂した。すなわち、IL1f9およびFoxD4のプロモーター/エンハンサー領域約10kbpをクローニングした後、それらの下流にDTRまたはDT遺伝子およびポリAシグナルを連結したTg用コンストラクトを作製した。それをBALB/cおよびC57BL/6マウス受精卵雄性前核にマイクロインジェクションして産仔を得、遺伝子導入を確認してIL1f9およびFoxD4プロモーターを用いた各マウスをそれぞれ3および4系統得た。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ予定通りTgマウスが樹立できたので、遺伝子導入が確認されたDTR発現Tgマウス系統にDTを投与し、好中球を除去または著しく減少させる条件を決定する。すなわち、これまでの申請者らの業績で用いたDT投与条件を参考として、その用量依存性や時間経過について検討する。基本的に末梢血中好中球数を評価指標とし、DT投与前および投与後経時的に採血してその変動を解析する。至適条件を決定した後、骨髄やリンパ組織等、他の好中球プール中における数や比率の変化も確認する。DT発現Tgマウス系統については、生後から成体に至るまで末梢血および必要に応じて各プール中の好中球数をモニターし、それが的確に除去または減数されているか確認する。また誘導型および恒常型欠損マウス両者とも、他の細胞種に与える影響を検討することによって、細胞除去効果の好中球に対する選択性を確認する。以後の検討では、IL1f9およびFoxD4エンハンサー制御ならびにDTR発現(誘導型)およびDT発現(恒常型)マウスの中で、より効率的かつ選択的に好中球を除去できたモデルを優先的に用いる。またそれと並行して、申請者らの業績に従い、T細胞依存性アレルギー性炎症反応およびIgE依存性アレルギー性皮膚炎症反応を解析する準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画がほぼ予定通り進行しているため、それに伴う消耗品として、当初の研究計画に準じ、遺伝子解析試薬、細胞生物・分子生物学的解析試薬、in vivo解析用試薬、実験用マウス購入・維持費および実験器具等を購入する。また一部の研究成果について、学会参加および論文投稿などによる外部発表を行う。
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