研究課題/領域番号 |
24500503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
藤崎 和弘 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90435678)
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研究分担者 |
横田 秀夫 独立行政法人理化学研究所, 生物情報基盤構築チーム, チームヘッド (00261206)
東藤 正浩 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10314402)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生物・生体工学 / 機械材料・材料力学 / 生体材料 / 物性実験 / 医療・福祉 |
研究概要 |
当該年度は研究の準備段階として、各種観察・測定装置開発と、実験手法の確認を行った。 [1]骨試料作成法の確立(藤崎:研究代表者・弘前大学):骨試料として牛皮質骨を利用し、3×3×約30mmの力学試験用試験片を作製した。試料表面の仕上げ加工精度や、試料成形中の乾燥を抑制するため、湿潤下で精密な成形が可能な低速型切断機(ロースピードダイヤモンドホイールソー)を導入し、高精度な骨試験片成形を実現した。 [2]骨組織用3次元内部構造観察システム開発(横田:研究分担者・理化学研究所、藤崎):理化学研究所所有の硬組織対応型内部構造顕微鏡システム(RMSS-003)を利用し、骨組織内部の3次元構造観察を実施した。RMSS-003はシリアルセクショニング観察法に基づいており、試験片のスライスと表面の顕微鏡観察を自動的に繰り返す3次元観察システムである。このシステムを骨組織に適用し、加工時の割れ発生や組織組成の破壊を防ぐための最適な加工条件、ならびに、組織内欠陥を明確に特定するための観察条件を決定した。実際にマウスの皮質骨試験片を多断面にわたってスライス観察し、血管や微小孔といったオステオン構造の観察を実現した。 [3]破壊試験機開発(東藤:研究分担者・北海道大学、藤崎):骨組織弾性率測定用の4点曲げ試験治具を作製し、一般的な材料試験機上で牛皮質骨異方性弾性率および、破断荷重の測定を実施した。また、破壊じん性値を測定するため、シャルピー型の小型衝撃試験装置を開発し、高分子材料ならびに牛皮質骨試験片の破壊試験を行った。 上記[1]、[3]に関連する成果を国内学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初は研究代表者(藤崎)の所属機関の変更(北海道大学から弘前大学への異動(2012年8月))に伴い、実験装置の整備や設備導入に遅れが懸念されていたが、当該年度に設定した3つの課題、[1]骨試料作成法の確立、[2]骨組織用3次元内部構造観察システム開発、[3]破壊試験機開発に関して当初の設定目標を達成した。また、研究者間の連携も円滑に行われており、各機関での実験実施に必要な共同研究体制が確立している。次年度に実施予定の実験・解析に必要な機器や環境の準備も整っており、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に基づき、下記4課題に関する実験を行う。 [1]骨折リスク除去処理(藤崎):破壊の起点となる構造を特定し物理的処理を施す。オステオンスケールの骨折因子への対策として、超音波切削工具を利用した特定部位の直接除去や試料表面に対する高精度平坦化処理(仕上げ加工)を行う。ナノスケールの因子に対しては、局所加熱、脱ミネラル処理によるアパタイト-コラーゲン結合の軟化を行う。 [2]オステオン構造の観察(藤崎、横田):内部構造顕微鏡システムにより、ハバース管、オステオサイトを含むオステオンスケールの3次元構造を観察する。また、過剰な負荷や繰り返し負荷を与えた試験片内部を観察し、亀裂発生箇所の特定や亀裂伝播形態を調査する。亀裂伝播形態を非破壊的かつ経時的に観察するためMicro-CT(理化学研究所、または北海道大学・共同利用機器)を利用し、内部亀裂の成長過程を調査する。 [3]ナノスケール構造変化の調査(藤崎、東藤):骨組織が変形するとナノスケール構造要素であるアパタイト結晶がひずみ、変形が過大となると結晶の破壊や、コラーゲン繊維の断裂が発生する。このナノスケールの破壊挙動を、X線回折法により得られる、アパタイト結晶の配向変化、結晶サイズの変化として取得する。X線は非破壊的に構造変化を測定できる事から、破壊現象の経時変化の調査に有効である。 [4]破壊試験(藤崎):各種骨試料の破壊試験を実施し、欠陥除去の有効性を定量的に調査する。評価には破壊時の吸収エネルギから破壊じん性値を測定し、破断挙動および破断面観察から亀裂発生部と進展形態を評価する。また、骨試料に繰り返し負荷を与えることにより、亀裂進展度合いを制御した試験片を人工的に作製し、欠陥除去による破壊リスク抑制効果を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は研究代表者の所属変更に伴い、実験・調査用旅費の一部に変更が生じた。本研究費は次年度の調査旅費、および、これまでの成果を基にした新規実験に利用することで、研究の更なる進展につなげる。 次年度の研究費は主に力学実験に必要な試料や消耗品の購入に利用する。また、旅費として、国内学会・国際会議への参加と成果報告、他研究機関の関連研究状況調査を予定している。 次年度も引き続き、代表者と他機関所属の2名の分担者による研究プロジェクトの実施を計画していることから、各機関で行う実験用消耗品の購入および、分担者個別の資料調査、打ち合わせにかかる旅費のために分担金を配分する。
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