• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

拡散を考慮したMRI画像シミュレータの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24500506
研究機関千葉大学

研究代表者

山本 悦治  千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (80501791)

キーワード高速拡散画像 / MRI画像シミュレータ / 拡散テンソル画像 / 磁場不均一分布の計算 / 圧縮センシング / 高周波磁場不均一
研究概要

平成25年度は次の5つのテーマに関して検討を進めた。(1)本提案法の拡散テンソル画像への展開、(2)生体磁化率の不均一性に基づく磁場不均一の計算法の確立、(3)高速計算法の高度化、(4)高周波磁場不均一の考慮、(5)シミュレータの人体数値モデルへの適用、である。(1)に関しては、H24年度で確立した基本技術を、拡散テンソル画像の生成に展開した。テンソル画像の生成には、複数傾斜磁場の同時印加が必要であるが、単純に適用したのでは高速化率が低下する。これに対し、合成傾斜磁場の方向に数値モデルを回転させる新規なアイディアを得て、従来法と同じ高速化率を達成した。これにより、初めて拡散係数の異方性を取り扱うことが可能な高速計算法が完成した。この成果は論文として刊行済である。(2)に関してはより一般化し、不均一な磁化率を有する任意形状の物体が、強い静磁場下で発生する磁場不均一分布を高速に計算する方法として検討した。フーリエ変換をベースとした計算法に、重ね合わせの理と低空間分解能データによる外挿法の組み合わせを提案し、局所高空間分解能計算法を確立した。これにより、従来法では20日以上を要する計算が、容易に入手可能な計算機でも20分程度で計算可能となった。この成果は論文として採択され、現在印刷中である。(3)に関しては、一層の高速化を達成するために、これまでとは全く異なる視点からの取り組みを行った。それが圧縮センシング(CS)の適用である。シミュレータへCSを用いることは初めての試みであったが、結果的には3倍の高速化を達成できた。この成果は論文として採択され、現在印刷中である。(4)に関しては、配置磁化を磁場不均一の大きさに従って密度変調するアイディアを得て、現在プログラミングを作成中である。(5)に関しては、(独)情報通信研究機構が開発した人体数値モデルに適用し、正常動作を確認した。すでに前記論文で用いたモデルに適用済である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、MRIにおける拡散現象の画像化を、画像シミュレータで実現することにより、MRIの利用価値を一層高めることにある。H25年度は、H24年度に手がけた研究が幾つかの成果として纏まった段階であった。具体的には、これまで発表のなかった拡散テンソルの画像化技術を、初めて確立した。また、生体構成物質も含め、任意形状の物体の磁化率不均一を反映した、静磁場不均一分布計算の可能な計算コードを開発した。これを人体頭部数値モデルに対して適用し、局所的ではあるが50μmの超高空間分解能の計算法を確立した。また、今後の3次元化や異方性計算による計算量の増大に対応するために、MRIシミュレータでは初めて圧縮センシングの適用を行った。これにより、シミュレータを3倍高速化できたが、その副産物としてMRIにおける圧縮センシングの研究にも本技術が活用できることが分かった。以上に関してはすでに論文として刊行あるいは印刷中であり、客観的な評価も得ることができつつある。

今後の研究の推進方策

今後は、圧縮センシングの画質向上において極めて重要であることが判明した、位相エンコード傾斜磁場のランダム性について追求すると共に、高周波磁場の不均一が拡散現象に及ぼす影響の評価を進める。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (15件)

  • [雑誌論文] 圧縮センシングによるMRI画像シミュレータの高速化2014

    • 著者名/発表者名
      朝比奈諒、藤居昭吾、山本悦治
    • 雑誌名

      Medical Imaging Technology

      巻: 32 ページ: 212-221

    • DOI

      10.11409/mit.32.212

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] MRI画像シミュレータのための磁化率分布に起因する磁場不均一計算の空間分解能向上2014

    • 著者名/発表者名
      桃澤礼、櫻井淳希、山本悦治
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌

      巻: J-97D ページ: 1202-1211

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Bloch-Torreyの式に基づくMRI拡散テンソル画像高速シミュレータに関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      藤居昭吾、山本悦治
    • 雑誌名

      Medical Imaging Technology

      巻: 31 ページ: 217-224

    • DOI

      10.11409/mit.31.217

    • 査読あり
  • [学会発表] 圧縮センシングを用いた3次元拡散強調MRIシミュレータ2014

    • 著者名/発表者名
      園川龍也、朝比奈諒、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] 拡散強調MRIシミュレータに適用した圧縮センシングにおけるSNRの再現性2014

    • 著者名/発表者名
      朝比奈諒、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] MRI 静磁場不均一の高空間分解能計算における局所法と分割法の比較2014

    • 著者名/発表者名
      桃澤礼、櫻井淳希、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] 磁場不均一を考慮した高速MRI拡散画像シミュレータへの磁化密度変調法の適用2014

    • 著者名/発表者名
      櫻井淳希、桃澤礼、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] MRIシミュレータを用いたMRI画像からの臓器抽出の基礎検討2014

    • 著者名/発表者名
      深田大輝、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] GPGPUのMRI画像シミュレータへの適用2014

    • 著者名/発表者名
      砂坂友、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] 高周波磁場の不均一を考慮したMRI拡散画像シミュレータの基礎検討2014

    • 著者名/発表者名
      山本哲史、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      20140318-20140321
  • [学会発表] Improvement of Spatial Resolution in Calculated Magnetic Field Perturbations Induced by Low Magnetic Susceptibility Devices for the MRI Image Simulator2014

    • 著者名/発表者名
      Rei Momosawa, Jyunki Sakurai, Etsuji Yamamoto
    • 学会等名
      Joint Annual Meeting ISMRM-ESMRMB 2014
    • 発表場所
      Milan, Italy
    • 年月日
      2014-05-10 – 2014-05-16
  • [学会発表] 数値人体モデルを用いた拡散テンソルMRI用高速画像シミュレータの評価2013

    • 著者名/発表者名
      藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      徳島市
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] 圧縮センシングを用いた拡散強調MRI高速画像シミュレータの数値人体モデルへの適用2013

    • 著者名/発表者名
      朝比奈諒、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      徳島市
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] MRI静磁場下の低磁化率デバイスが誘起する磁場不均一の低分解能分布を用いた外挿による高精度化2013

    • 著者名/発表者名
      桃澤礼、櫻井淳希、山本悦治
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      徳島市
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] 磁場不均一を考慮したMRI拡散画像シミュレータの高速化2013

    • 著者名/発表者名
      櫻井淳希、桃澤礼、藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      徳島市
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] 超短TEイメージングにおけるhybrid VERSE法のRF電力低減2013

    • 著者名/発表者名
      松島利明、山本悦治
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      徳島市
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] Bloch-Torreyの式に基づくMRI拡散テンソル画像高速シミュレータに関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      藤居昭吾、山本悦治
    • 学会等名
      第32回日本医用画像工学会大会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130801-20130803
  • [学会発表] Diffusion-Weighted MRI High-Speed Simulator with Bloch-Torrey Equation2013

    • 著者名/発表者名
      Shogo FUJII, Etsuji YAMAMOTO, Yo TANIGUCHI, Yoshitaka BITO
    • 学会等名
      21st Annual Meeting & Exhibition, The International Society for Magnetic Resonance in Medicine
    • 発表場所
      Salt Lake City, Utah, USA
    • 年月日
      20130420-20130426

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi