研究課題/領域番号 |
24500508
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
酒井 晃二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20379027)
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キーワード | 磁気共鳴像 / 脳 / 側脳室 / トラウマ / 多発性硬化症 / 拡散 |
研究概要 |
本研究は、一般的に臨床のルーチン測定として用いられているMRI測定方法の一つである拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Image: DTI)を解析することにより「脳深部温度」という新たな鑑別項目を提供することを目的とする。ファントム測定によりDTI撮像パラメータの最適値を得て、それらを臨床測定に適用する。さらに、データ解析手法を開発し、適正な値を提出して脳内の代謝や病態把握のための新たな指標を温度という馴染みやすい値で提供する。 平成25年度は、主にトラウマ患者における状況の再現をファントムにより検討した。具体的には、人工脳せき髄液ファントムに対して出血時に増加すると考えられるタンパク質量をさまざまに設定し、DTIから得られた温度測定結果を実測値と比較して、タンパク質量の本法に対する影響の有無、程度を検証した。その結果、0.1-1.11mg/mlのタンパク濃度では、0.1-0.42℃程度の粘度による影響が観察された。健常者の20倍程度までのタンパク量であれば、大きな影響を与えないことが分かった。 実患者への応用例として、多発性硬化症患者の平均脳温と健常者との比較を行った。その結果、多発性硬化症患者において、有意に高い平均脳温が観測された。病理学的考察に沿う結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(目的1)ファントムによる基礎的検討、(目的2)健常者への応用、(目的3)自動算出方法の検討、(目的4)病態把握への応用において、(目的1)~(目的3)は概ね実施されており、精細な検討が必要な部分も残されているが、一定の成果を得ている。(目的4)については、Moyamoya病、脳溢血、脳外傷(トラウマ)、水頭症、小児病変等への応用を予定していたが、脳溢血および小児病変以外についてはすでに病態群の検討を行っており、追加項目として、多発性硬化症についても検討した。さらに、適用例を増やす計画がある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにも(目的1)~(目的3)については実施してきたが、(目的1)においては、さらに人体の現象を表す仕組みを加えて検討する。(目的2)においては、健常者の体温周期への応用を検討する。(目的3)はすでに作成できているが、配布に至っていないため、問題点を解決する。(目的4)については、さらに適用例を増やす計画があり、一部は実行に移している。
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次年度の研究費の使用計画 |
エフォート管理の関係上、旅費を伴う出張に使える日数が限られていたため、当初予定していた出張を取りやめた。 実験装置、MRI使用料等に充当する予定である。
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