研究課題/領域番号 |
24500515
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
菊川 久夫 東海大学, 工学部, 教授 (50246162)
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キーワード | 画像相関法 |
研究概要 |
本研究の全体構想は、MRIにより得られた海綿骨骨梁画像の画像相関法によるin vivoひずみ解析を行い、骨組織上に発生するひずみ分布と微小損傷の進展挙動との関連を定量化し、骨折の破壊危機レベルを表す指標として、ひずみ分布パターンの有用性を証明することである。 本年度はMRI装置による画像取得実験を試みた。具体的にはMRI装置内で皮質骨試験片に負荷を行い、負荷状態と無負荷状態の骨梁の画像を取得した。これらの画像に、開発したデジタル画像相関法によるひずみ推定システムを適用し、骨梁のひずみ分布の測定を試みた。 画像相関法については本計画の根幹をなす測定技術である。現在、JAVA言語によりプログラムが開発されており、測定の精度について日々検討中である。その結果、ひずみ測定がかなりの精度で可能となっている。測定精度の向上については、取得画像の画像処理が重要となり、有限要素法による解析結果が精度評価に不可欠なものと考えている。 しかし、今回の画像相関法による実験では、従来行っていた試験片へのランダムパターンの塗布を行わなかったため、正確なひずみ値ならびにひずみ分布が測定できないことが判明した。これは最終的に行うin vivoひずみ解析においてもランダムパターンの塗布は事実上不可能であり、本年度はこれらを回避できる撮像条件や画像処理方法の検討を行い、現在も検討を重ねている。なお、定量的にひずみが評価できているのかについて新たに検討を行い、ランダムパターン塗布の場合は、定量的にひずみが測定できることを確認している。その結果については、現在論文にまとめて成果報告の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」でも述べた通り、第一に試験片へのランダムパターンの塗布がないと正確にひずみが測定できないことが判明した。そのためin vivo実験では事実上ランダムパターンの塗布ができないため、ランダムパターンなしで測定が行えるように、ソフトの改良の必要性が新たに生じた。本研究では当初骨梁パターンがランダムパターンとして有効であると推測していたためである。 第二に上記問題に伴い、ウシの皮質骨では画像の輝度の変化が少なく、輝度にある程度パターンがあるブタ海綿骨に試験片を変更して実験を行うことを考えた。よって、考案した負荷装置の変更が生じた。またはこれからも生じると予想される。依然として負荷装置の製作に難渋しているのはそのためである。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの達成度」で理由を述べた通り、今後の研究推進の方策として、当然のことながらMRI装置によるin vivo実験による骨梁のひずみ分布の取得が問題となってくる。MRIの磁界の中でその影響を受けず、強度的にも問題のない材料を用いて製作しなくてはならない。現在、プラスチック系の材料で製作を検討しているが、これらについて機械的特性のデータが不足しているためサンプルによる力学試験を実施する予定である。 また、ひずみ解析の精度については、ランダムパターンの塗布をしなくても測定が行える条件を先ず探し出して行く予定である。この問題については、本年度当該国際学会に参加し、専門的知識の提供を受けたので、得られた知識・資料をもとに検討して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像解析用のソフトウェアを購入予定であったが、本開発のソフトウェアで十分解析精度が満足できると、当初は考えていたため購入しなかった。 取得画像よりひずみ分布を求める作業が難航しているため、画像解析の専門的知識の提供、ならびにMRI内で使用する負荷装置の材料費として主に使用予定である。その他については論文公表に関わる費用としたい。
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