研究課題/領域番号 |
24500516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
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研究分担者 |
今井 裕 東海大学, 医学部, 教授 (70138113)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 磁気共鳴 / 脂肪 / 温度 / 画像化 / 依存性 / プロトン / 集束超音波 |
研究概要 |
本課題では昨年度までの課題「乳がん集束超音波治療のための脂肪組織の磁気共鳴温度分布画像化法」において確立した多点Dixon法と多フリップアングル法を併用した,脂肪-水融合温度分布画像化法の精度を改善するため,脂脂肪酸磁気共鳴信号の温度依存性の探求を行なっている.H24年度はまず脂肪酸成分のブレークダウンに先立ち,脂肪酸分子内の異なる位置にある水素原子核(プロトン)に由来する磁気共鳴分光スペクトル(CH=CH,CH=CH-CH2-CH=CH, CH2-COOH,CH2-CH=CH,(CH2)n,CH2CH2CH2-CH3)の,強度の相対的な関係を詳細に調べた.ウシならびにブタ脂肪に関する実験の結果,これらのプロトン信号の比温度に依らず一定に保たれることが明らかになった.水の周波数は温度依存するが,これらの脂肪由来プロトン成分の周波数差も温度に依らないことは過去に明らかにしている.これらのことから温度推定における成分分離では,これらの信号比と周波数差を先験情報と与えることによる変数を大幅に減らせることが分かった.また水由来プロトン信号の周波数変化に関しては一つ前の温度点における周波数を先験情報として与えれば良いことが分かった.これらのことを反映すべく,理論計算による定式化の後,アルゴリズムの改良を行なった.理論計算ならびに数値ファントムにより妥当性を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた動物脂肪に含まれる個々の脂肪酸(オレイン酸,パルミチン酸,リノール酸,ステアリン酸,ミリスチン酸)のブレークダウンによる温度依存性測定の前に,信号強度比が温度に対して一定に保たれることがわかったため,こちらに関する検討を先に行なった.このため作業の順序が変わったが,内容の進展度合いとしてはほぼ計画通り進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
全体的な研究計画に変更はないが、本年度より,本学に実験用9.4T(プロトン共鳴周波数400MHz)の縦型NMR/MRI装置が共同実験設備として導入されることになった.これは当初より予定している個々の脂肪酸のブレークダウン実験を,大口径(30mm)の試料管で測定できると共に,マウス程度の大きさの動物について画像化実験を行うことができる.これまでは分光実験と画像化実験を別々の装置で行い、かつ画像化実験は医学部において行なってきたが,上述の装置の導入により,研究効率が大幅に改善できると思われる.
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次年度の研究費の使用計画 |
上述の装置の導入に伴い設備備品としてマウス用に麻酔導入用ボックス及び余剰ガス回収装置を購入する予定である.このことを含め先に提出した,H25年度分科研費使用明細書に沿って使用する計画である.
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