研究実績の概要 |
H25年度までの実施においては脂肪プロトン信号の各成分の強度比が温度に関わらず一定であること,ならびに各成分のスピン格子緩和時間T1の比が温度に対して単調に増加すること,ならびにエコー時間の設定を3成分モデルに対しても(-1/6+k)π, (1/2+k)π, (7/6+k)πとすることを利用した,T1の測定誤差低減方法を見出した.しかしながら,この方法ではエコー時間の設定の自由度が低く,実用性が低くなることが問題となった. そこでH26年度はデータ収集及び推定モデルにおいてはむしろ単純な水・鎖状メチレン基の2成分系を仮定し,実験により予め求めておいた成分比により9成分の脂肪信号成分を求めることにより,推定モデルを3成分にする場合に比べて誤差を1/10以下に低減できることを示した.さらにこのようにして求めた鎖状メチレン基ならびに終端メチル基のT1の推定においても同程度の精度改善が見られた.これらの検討により,T1による脂肪温度の推定方法はほぼ確立できた.一方,この方法によると炭素の2重結合部位を含む信号強度下位の成分の推定は不要となった.以上のアルゴリズムの最適化に時間を使ったため年限内の掲載はできなかったが,結果をまとめた原著論文を投稿予定である.
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