乳房や骨髄などの集束超音波治療を安全・有効に施行するため,脂肪組織の温度を鎖状メチレン基プロトンの磁気共鳴スピン格子緩和時間(T1)を用いて非侵襲的かつ定量的に画像化する技術の確立を目指した.当初,T1の温度依存性をヒト脂肪を構成する数種の脂肪酸に分けて検討することを想定していたが,研究開始当初に,脂肪酸の各化学シフト成分の信号強度の比が温度に対して不変であることを新たな知見として見出した.そこで研究計画をやや変更し,信号強度比を先験情報として固定し9成分の強度を推定すると,SN比が悪い場合でも堅牢に鎖状メチレン基プロトンのT1が測定できることを示しこれに基づく温度分布画像化法を提案した.
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