研究実績の概要 |
本年度は最終年度にあたるため、既存の主たる心拍変動瞬時周波数推定法3種類について徹底した性能比較を行い、より推定精度の高い新しい推定手法の開発を行った。性能比較の対象としたのはResampled Instantaneous Heart Rate(RIHR)法、Derivative of Cubic Spline Interpolation (DCSI)法及びSpline smoothed Instantaneous Heart Rate (SIHR)法の3手法である。フラクタル性を持つ仮想的な心拍変調信号をIPFMモデルにより変調しR波生起時刻を生成させる。生成されたR波生起時刻列に上記3手法を適用し復調精度を本研究過程で考案した有効帯域幅により評価した。その結果有効帯域幅はDCSI法がもっとも広く、次いでSIHR法、RIHR法の順となった。変調信号の変動係数は小さいほど、平均心拍数は大きいほど有効帯域幅が広くなることも確認された。有効帯域幅の意味ではDCSI法が最良であることが示されたが、高周波帯域で推定値のバイアスが生ずることが明らかとなった。そこで新たな手法としてDCSI法とSIHR法の加重平均をとる推定法を検討し、適切に重み係数を選ぶことにより、推定精度を保ったままバイアスのない推定が可能となることが示された。研究成果は下記論文として公表した。研究成果はInternational Journal of Bioelectromagnetism, IEEE生体医工学ソサエティー年次大会等で発表した。また本手法は電力発電周波数等高い周波数分解能と時間分解能を両立させる必要がある応用分野に広く応用される技術である。
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