生体組織の微視的損傷は,機能維持と障害発生という互いに反する面に関与する極めて重要な事象である.生体硬組織である骨のみならず,軟組織である皮膚や血管においても,組織に発生する部分的ダメージに関する研究は十分に行われていないのが現状である.本研究での一連の実験によって,生体軟組織である血管や皮膚,あるいは生体硬組織である骨などの力学的特性が変化していく状況下では,組織内に微視的な損傷が発生していることが推察され,骨粗鬆症や紫外線による皮膚ダメージさらには高血圧による血管の損傷などの病的状態の発生や,各組織の力学的機能の維持がどのような機構で行われているのかについての知見を得ることができた.
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