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2012 年度 実施状況報告書

ハイパーサーミアが癌細胞の力学的特性におよぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 24500523
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡山理科大学

研究代表者

内貴 猛  岡山理科大学, 工学部, 教授 (40241385)

研究分担者 林 紘三郎  岡山理科大学, 工学部, 教授 (90026196)
松木 範明  岡山理科大学, 工学部, 教授 (90284520)
原 啓文  岡山理科大学, 工学部, 准教授 (80511071)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードハイパーサーミア / 細胞骨格 / 細胞生存率
研究概要

ハイパーサーミア(温熱治療)はがんを含む組織に熱刺激をあたえて正常細胞は温存したままがん細胞のみを死滅させる方法である。しかし、熱刺激により細胞のスティフネスが変化するのかどうかについてはほとんどわかっていない。本研究では、熱刺激ががん細胞の細胞骨格の構造と細胞のスティフネス(硬さ)におよぼす影響を調べ、細胞を軟らかくすることなく細胞死を誘引できる刺激条件、すなわち効率的にがん細胞を死滅させる方法を開発することをめざす。
HeLa 細胞(ヒト子宮頸部癌細胞)にGFP アクチンの遺伝子(CellLight Actin-GFP BacMam 2.0)とRFP チューブリン(CellLight Tublin-RFP BacMam 1.0)あるいはRFP タリンの遺伝子(CellLight Talin-RFP BacMam 2.0)を導入し、アクチン線維と微小管、接着斑を、細胞が生きたまま蛍光顕微鏡で観察できるようにした。しかし、End1/E6E7 細胞(正常ヒト子宮頸部扁平上皮細)については明確なアクチン線維が観察されなかった。そこで、HeLa細胞のみを使用し、ホットプレートを使用してHeLa細胞を43℃に5分間保ち、細胞に熱刺激を与えた。その後、蛍光顕微鏡で室温にて細胞骨格(アクチン線維、微小管)あるいは接着斑の形態・構造の変化を、10分毎に観察した。その結果、アクチン線維と微小管、接着斑は熱刺激開始直後から分解されていくことがわかった。そして40分位で生き残る細胞と死ぬ細胞に違いが見られるようになり、生き残る細胞はアクチン線維と微小管、接着斑の再構築が始まったのに対し、死ぬ細胞は熱刺激開始から60分位で完全にアクチン線維と微小管、接着斑が観察されなくなった。
以上の様に熱刺激による細胞の死に、細胞骨格の変化が何らかの形で関係していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた研究計画をおおむね実施できた。しかし、HeLa細胞のコントロールとすることを考えていたEnd1/E6E7 細胞の細胞骨格が明確に観察できなかったことから、別の正常細胞をコントロールとして検討しなければならないことになった。しかし、次年度に計画していた熱刺激の条件が細胞骨格と細胞生存率におよぼす影響を調べる研究を少し進めることができた。具体的には熱刺激をあたえる温度を43、45℃、刺激時間を5、10分に設定して、熱刺激条件の影響を検討した。
また、細胞のスティフネスを測定することを計画していたが、年度内に終わらせることができず、現在も進行中である。

今後の研究の推進方策

End1/E6E7 細胞に替わる正常細胞を選定し、その骨格構造を観察できるようにする。
また、細胞のスティフネスを測定できるようにし、まずはがん細胞と正常細胞のスティフネスの差を検討することから始め、本来の研究計画である熱刺激の影響を検討する。

次年度の研究費の使用計画

本年度に引き続き、細胞の購入費、細胞培養用の試薬・器具の購入費、細胞のスティフネスを測定するための原子間力顕微鏡用のカンチレバーの購入費等に使用する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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