研究課題/領域番号 |
24500524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
松木 範明 岡山理科大学, 工学部, 教授 (90284520)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アポトーシス / カスパーゼ / 低電圧電気パルス |
研究概要 |
1) 低電圧パルス刺激によるアポトーシス誘導閾値の探索 H24年度は低電圧パルス刺激によるアポトーシス誘導閾値を探るために、Jurkat細胞株, B16細胞株に対して、異なる電圧および作用時間を持った単極方形波電気パルス刺激を行い、アポトーシス誘導実験をおこなった。 アポトーシスの測定にはアネキシンV-7AAD kit試薬を用い、Flowcytometryおよび蛍光サイトメーターを用い個々の細胞ごとに検出を行った。その結果、15v,100mmsでの刺激はcontrol細胞に比べ、2-3倍のアポトーシス細胞の出現が確認された。また、8v,100mms電気刺激でもアポトーシス細胞の出現が確認されたものの、有為な増加は認められなかった。これらの実験結果を総合すると、100mmsの単極方形波のアポトーシス誘導電圧閾値は10-15v程度になるものと推定された。 2) 低電圧パルス刺激による細胞構造変化 低電圧パルス刺激が細胞に及ぼす形態学的影響を顕微鏡下に捉えるために、B16細胞株に対し、細胞膜とミトコンドリアの各GFP標識安定発現系の作製を行った。これまでのところ、細胞膜に対するGFP標識安定発現系は確立したものの、ミトコンドリアに対しては既に遺伝子導入を終え、現在選別純化培養中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記概要欄でも述べたように、低電圧閾値がほぼ確定したことで、アポトーシスにおける電気パルス刺激の他の要素(作用時間)の関与度合いがより把握し易くなり、実験計画がより立て易くなったと言え、さらなるパラメータの具体化が期待される。 また、細胞膜GFP標識安定発現系を作製できたことで、電気刺激による細胞膜の変化を形態学的に捉えられるようになり、これまでの実験で得たcaspase-8の活性化を裏付ける重要な証拠を得られる事が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
1)前年度の低電圧パルス刺激によるアポトーシス誘導閾値の探索実験の他、アポトーシス経路の解析として、カスパーゼ系を中心としたがん細胞アポトーシスの酵素活性経路の同定を行う。具体的には、カスパーゼ2,3,8,9,12の酵素活性を蛍光サイトメーターで測定する。 2)アポトーシスの誘導メカニズムのひとつであるカルシウム経路について、Fluo-4AMを用いて細胞内カルシウム濃度の変化を測定する。 3)低電圧パルス刺激が細胞に及ぼす形態学的影響を顕微鏡下に捉える。具体的には、GFPプラスミドを細胞に遺伝子導入することにより得られた細胞膜およびミトコンドリアGFP安定発現系の細胞株を用い、電気パルス刺激後の変化を形態学的に分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は研究補助員を雇用する予定としていたが、十分な研究歴と技術をもった該当者の選定が遅れたため、それに伴う経費の支出が出来なかったために、やむを得ず予算の繰り越しとなったものである。 今年度は研究補助員も確保でき、その経費として120万円、9月末に開催されるヨーロッパ癌学会での発表参加に関する旅費として40万円、その他実験消耗品(器具や試薬)として74.6万円を予定しており、繰越金と合わせ全額の予算を支出する予定である。
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