研究概要 |
1)低電圧パルス刺激によるアポトーシス誘導閾値の確認とアポトーシス経路の解析を行った。H24年度は、Jurkat細胞株, B16細胞株について低電圧パルス刺激によるアポトーシス誘導閾値を探る実験を行った。その結果を参考に、H25年度は15V,100msの単極方形波でアポトーシスが誘導されることを確認した。さらにアポトーシス経路の解析実験を行った。具体的にはカスパーゼ系を中心としたがん細胞アポトーシスの酵素活性経路の同定のため、カスパーゼ3,8,9の酵素活性を蛍光サイトメーターで測定を行った。その結果、カスパーゼ酵素群の活性化は、短時間の刺激にも関わらず、3-24時間の長期にわたる酵素活性の上昇を確認出来た。この結果より、低電圧パルス刺激という一過性刺激が、細胞膜や細胞内小器官への構造的変化を引き起こしているのではないかと考えられた。 2)アポトーシスの誘導メカニズムのひとつであるカルシウム経路について、Fluo-4AMを用いて細胞内カルシウム濃度の変化を測定した。東北大学にて、real-time細胞内カルシウム濃度測定装置を用いて15V,100msの単極方形波刺激で測定したところ、刺激後に約35%程度の細胞内カルシウム濃度の上昇が認められた。 3) 低電圧パルス刺激による細胞構造変化を調べる実験を行った。 低電圧パルス刺激が細胞に及ぼす形態学的影響を顕微鏡下に捉えるために、B16細胞株に対し、細胞膜とミトコンドリアの各GFP標識安定発現系の作製を行った。その結果、細胞膜GFP標識安定発現系とミトコンドリアGFP標識安定発現系の二種類の安定発現系をB16細胞株で確立した。
|
今後の研究の推進方策 |
今期の業務としては、 1.論文発表 2.昨年度に引き続き、カスパーゼ系を中心としたがん細胞アポトーシスの酵素活性経路の同定を行う。具体的には、カスパーゼ2,3,8,9,12の酵素活性を蛍光サイトメーターで測定する。 3.低電圧パルス刺激が細胞に及ぼす形態学的影響を顕微鏡下に捉える。具体的には、確立した細胞膜およびミトコンドリアGFP安定発現系細胞株を用い、電気パルス刺激後の形態学的変化を捉える実験を実施する。
|