研究概要 |
超高齢化社会を迎えた本国では骨疾患をもつ患者数の増加が大きな問題となっている。骨疾患の治療薬のなかで、タンパク質治療薬は活性の高さと毒性の低さから注目されているが血中内での安定性が低く効率的な治療を行うには問題がある。そこで、タンパク質治療薬の血中安定性を向上させ、さらに骨指向性を高めるため骨組織との親和性の高いポリマーとの複合化を目指した。本研究では遊離のリン酸エステル結合を主鎖にもつポリリン酸エステルアイオノマーを合成し、タンパク質との複合化を試みた。 2-メトキシ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(MP)を、メタノールを開始剤として塩基性有機触媒を用いることで開環重合を行った。PMPにトリメチルアミンを作用させたのち、陽イオン交換樹脂を用いて脱メチル化した。続いてこのポリマーを水に溶かし水酸化ナトリウム水溶液により中和することでポリ(2-ヒドロキシ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン)ナトリウム塩(PHP-Na)を得た(Figure 1)。続いてPHP-NaとEDC、イミダゾール、モデルタンパク質であるウシ血清由来アルブミン(BSA)をPHP-Na: BSA=1:1,5:1,20:1となるように混合し、24時間反応させた。複合化の速度解析をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により行い、タンパク質とポリマーとの複合体形成をSDS-PAGEで確認した。
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