本研究は骨のリモデリングの制御を可能にするポリマーの獲得を目的とし実施された。研究期間の前半においてポリリン酸エステルの新たな合成法に着手し、従来法よりも温和な条件で、かつ、毒性の原因となる金属を一切使用しない合成手法を確立した。続いて、ポリリン酸エステルと血漿タンパク質および血球細胞との相互作用を調査し、合成したポリリン酸エステルがタンパク質の変性や細胞の溶血を惹起しないことを明らかにした。研究後半では、骨リモデリングに関与する骨芽細胞と破骨細胞におよぼすポリリン酸エステルの影響を調べ、ポリリン酸エステルが、破骨細胞の機能を特異的に脆弱化することを見出した。
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