研究課題/領域番号 |
24500533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
速水 尚 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20173057)
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研究分担者 |
楠 正暢 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20282238)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工骨 / バイオマテリアル |
研究概要 |
高価なポリエーテル樹脂(PE)に代えポリアミド樹脂(PA)を用いて予備実験を行った。ヒトおよびブタ大腿骨頭海綿骨のCT画像データを利用できるようにし、これを用いてラピッドプロトタイプ造形(RP)によりPA製人工海綿骨(人工骨)の製作とその実圧縮実験および有限要素法解析を実施した。実寸大人工骨の内部構造を正しく模倣して製作することはできなかった。原因は、生体骨の内部構造の寸法がRP加工精度の上限を超えているためであった。CADシステム上で内部構造寸法を相似拡大して、生体由来の海綿構造形態を保ちながら加工精度内に収める方法を検索した。そして、相似拡大造形した人工骨と生体骨の圧縮剛性を実験的に求め比較した結果、両者は許容範囲内で整合することを明らかにし、本方法で生体海綿構造形態に由来した形態の人工海綿骨を製作可能との結論を得た。 一方、単純板にRP造形したPE基板の生体親和性をヒト骨芽細胞培養実験よって検討した。PEは生体親和性に非常に乏しい。PE基板にチタンを厚さ100 nmに被覆して、生体親和性の向上を確認したところ、細胞増殖能を3倍以上に向上させることができた。 チタン薄膜と基材の密着強さを単純引きはがし実験によって評価し、人工骨として十分な密着強さを有することを示した。また、基材の変形に対する薄膜の追随性を、薄膜の引っ張り伸びを非接触測定することで評価した。RP基材の場合、基材が破断しても、破断部の極近傍の膜でさえ剥離しないことを実証した。 射出成形したPEの被削性を評価した。同時に手術用のみによる被削性を考察して、良好な被削性を確認した。この結果から、人工骨の被削性も良好で、人工骨の再置換術で手術のみや鋸で置換人工骨を切除する場合も、周囲骨と同様に難なく切削することができると強く推認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書等に記載したH24年度の実施計画では、(1)RPによるPEEK海綿骨の製作、(2)生体力学的特性および切削性の追究、(3)骨伝導能を付与する薄膜被覆技術の探索、(4)ヒト骨芽細胞の増殖・分化能の検索の4項目を掲げた。 (1)および(4)の分化能検索を除き、計画通りに研究を進めることができ、一部はH25年度予定の内容にも到達している。計画から外れた点は、ポリエーテル樹脂の価格が著しく高騰したため、経費節減のために実験の一部に代替え材料を使用したことであるが、手法の確立が主目的の項目のため素材変更の影響はなかった。また、骨分化能測定についても、測定装置の完備に手間取ったためでありH25年度開始直ぐの段階で確実に挽回できる。
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今後の研究の推進方策 |
RP加工が可能な海綿骨内部構造の決定パラメーターを有限要素シミュレーションによって追究する。人工骨に人工軟骨を固定する技術開発に着手する。また、予定通り動物実験のフェイズに入るが、昨今叫ばれている動物実験代替を強く意識して、極力実験数を減数して目的を達せられるように努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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